コラム

テレビ番組やCMと心理学の関係

2023.11.16 心理
  • 教育心理学
  • こころ検定(R)

テレビ番組やCMと心理学には、どのような関係があるのでしょうか。 

 

日本には365日の全てに何らかの「記念日」が制定されています。
1953年8月28日は日本のテレビとCMにおいて、非常に重要な日でした。
1953年2月1日にNHKが放送を開始し、それに続く形で日本テレビが民間放送として初のテレビ放送を正式に開始したのが1953年8月28日でした。
そして、同日に日本テレビで初のテレビCMが放送されました。
ちなみに、日本最初のCMは「精工舎の時計が正午をお知らせします」という服部時計店(現:セイコーホールディングス株式会社)の時報でした(※最初のCMはフィルムが裏返しになっていて失敗してしまい、同日の夜に再度放送されました)。
 

 

このような歴史から、一般社団法人・日本民間放送連盟(民放連)が2005年に8月28日を「民放テレビスタートの日」と「テレビCMの日」に制定しました。
そんな、テレビやCMと心理学にも関係があります。
 

テレビと心理学の関係として有名なものとして、アメリカのテレビ番組であるセサミ・ストリートがありますが、このテレビ番組をご存知の方も多いと思います。
実はこの番組は教育心理学の分野で非常に重要なものであり、ちゃんと心理学の辞典にも掲載されているのです。
セサミ・ストリートとは、アメリカで
3~5歳児の就学前教育のために作られたテレビ番組であり、チルドレンズ・テレビジョン・ワークショップ(Children’s Television Workshop)が製作をしています。
番組製作にあたっては、教育専門家や調査研究員も関わり、教育と娯楽の効果的な融合が図られ、子どもの注意を引きつけて離さないさまざまな工夫が凝らされています。
日本では1971年からNHKで放送されており
(NHKで見たことがあるという方も多いと思います)。
ただし、日本では、幼児番組というより英語教育番組として扱われることが多いものです。
 

 

CMと心理学の関係で言えば、単純接触効果が有名です。
単純接触効果とは、特定の中性刺激に繰り返し接触するだけで、その刺激に対して好意的な態度が形成されるという現象です。
言語刺激・視覚的刺激・聴覚刺激・現実の人間などのいずれが刺激になった場合にも認められることが判明しています。

つまり、CMで度々見かけたというように繰り返し、繰り返し「接触」しただけで、私たちはそのモノや人を好きになってしまうということです。
これは、商品・サービスの販売などにも当然当てはまりますが、それ以外の様々な事柄にも影響します。

たとえば、選挙を考えてみましょう。
複数の候補者が立候補している状況で、特定の1人の候補者だけが頻繁にCMに出演したら、どうなるでしょうか。
元々、その候補者のことが「好き」で応援していた人には、さほど影響はなく、そのまま投票をするかと思われます。

しかし、特にその候補者に対する事前の好悪がない人(候補者の存在が中性刺激となっている人)にとっては、どうでしょうか?
何度も何度も、その候補者を見るたびに、単純接触効果の影響で、その候補者(中性刺激)に対して好意的な態度を持ってしまう可能性があります。
これが、今まで知らなかった候補者のマニフェストなどを吟味した上で、有権者側の態度が変わったのであれば問題ありません。
ただ、有権者の中には、あまり各候補の主張や政策を吟味せずに、何となく投票してしまう人もいるでしょう。
この「何となく」の部分を単純接触効果が大きく引っ張ってしまうと、CMに沢山出演することができる候補者が圧倒的に有利になってしまいます。

このような選挙における単純接触効果を防ぐために、選挙期間中は候補者のメディアへの出演は抑制され、仮に出演することがあったとしても、その場合は候補者全員が平等に出演し、平等に話したり、カメラに映ったりしなければならないというルールが設けられています。 

このように、私たちの生活にとって身近なテレビやCMにも心理学との関りがあるのです。 

 

 

著者・編集者プロフィール

この記事を執筆・編集したのはTERADA医療福祉カレッジ編集部

「つぶやきコラム」は、医療・福祉・心理学・メンタルケアの通信教育スクール「TERADA医療福祉カレッジ」が運営するメディアです。
医療・福祉・心理学・メンタルケア・メンタルヘルスに興味がある、調べたいことがある、学んでみたい人のために、学びを考えるうえで役立つ情報をお届けしています。

関連記事