電話健康相談の日と心理学には、どのような関係があるのでしょうか
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日本では365日の全てに何らかの記念日が制定されています。10月1日は「電話健康相談の日」に制定されています。これはティーペック株式会社が制定したものです。日付の由来は1989年10月1日に同社が24時間年中無休の電話健康相談サービス「ハロー健康相談24」が開始したことがきっかけとなっています。同社の「ハロー健康相談24」では、最新の受付システムを完備した相談センターで常勤のドクターをはじめとして、ヘルスカウンセラーなど経験豊かなスタッフが24時間・年中無休体制で電話による健康相談に応じてくれるサービスとなっています。また「ハロー健康相談24」は1995年に発生した阪神・淡路大震災や2004年に発生した新潟県中越地震などの災害時においても活躍しており、社会貢献活動も積極的に行っています。
では、電話相談と心理学には、どのような関係があるのでしょうか。
心理カウンセリングにおいても、伝統的に電話カウンセリングというものが実施されています。電話カウンセリングでは、直接、心理カウンセラーとクライエントが顔を合わせることがないので、音声のみによるコミュニケーションとなります。そのため、相手の表情や視線の動きなどの重要な情報は伝わりません。しかし、メールのように文字だけのツール(機器)に比べれば、声のトーンなどの情報が活用できるというメリットがあります。電話カウンセリングも、直接対面による心理カウンセリングの場合とは異なる特徴があるため、電話カウンセリング独自の知識や技術が必要になります。電話カウンセリング自体は今後も消滅することなく存続し続けるものではありますが、主流のアプローチではなくなりつつあります。その理由の1つとして、10代・20代の若い層は、ほとんど電話をしなくなっており、その代わりにLINEなどを活用している人が非常に増えていることが総務省の調査などでも判明しています。時代の変化に合わせて、カウンセリングのツール(機器)も変化していくわけです。
いのちの電話の発祥は日本ではなく、1953年にイギリスのロンドンで開始された自殺予防のための電話相談が世界で最初のサービスであるとされています。そして、日本ではドイツ人の宣教師であるルツ・ヘットカンプが中心となって1971年10月に日本で初めてボランティア相談員による電話相談が東京で開始されています。その後、1977年には全国に5か所となり、各センターの運営・管理をしていくための組織として、一般社団法人 日本いのちの電話連盟(https://www.inochinodenwa.org/)が結成されました。2011年には、いのちの電話開設40周年を迎え、記念式典には皇后陛下のご臨席を賜っています。そして、2025年現在、連盟加盟センターは50ヵ所となり、5,873名の相談員が活動しています。なお、2024年の相談件数は576,507件となっています。
いのちの電話は電話カウンセリングを主軸としていますが、その後、現在のコミュニケーション・ツールの発展を考慮し、電話以外のチャットやメールなどによる相談対応も展開されています。これらの相談対応は自殺予防対策として長年、日本のメンタルヘルスの最前線で活動しています。ただ、電話カウンセリングという匿名性が高く、かつ無料であるサービスであるため、様々な問題も発生しています。いのちの電話には、性的な欲求を満たすための電話、相談員を傷つけ罵倒する電話、いやがらせ・いたずら電話などもかかってきてしまうこともあります。いのちの電話では、こういった電話には対応しないという方針を打ち出しています。電話回線には限りがあるため、こういった電話を受けている間、希死念慮を抱えている本来の相談者への対応が滞ってしまうわけです。素晴らしいサービスであるということが前提の上で、利用者のモラルやリテラシーも問われているのです。
この記事を執筆・編集したのはTERADA医療福祉カレッジ編集部
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