コラム

サイコドラマとは <26/6リライト>

2026.6.11 心理
  • 心理カウンセラー
  • こころ検定(R)

【目次】

  1. 1.演じてひらく心の可能性
  2. 2.演じて気づく人と自分
  3. 3.創造性が癒しを生むドラマ
  4. 4.余剰現実が心を動かす

 

1.演じてひらく心の可能性

サイコドラマ(心理劇)とは、モレノによって創始された、即興劇の方法を用いた集団心理療法の一つです。

日本では、1950年代に外林大作や松村康平らによって初めて紹介され、一般的には「心理劇」と呼ばれ、臨床的に発展してきました。

また、日本には「日本心理劇学会」という学術団体があります。
日本心理劇学会は、1983年にメキシコで開催された第8回国際集団精神療法学会において、サイコドラマ部門を創設しようという動きに端を発します。この学術大会に参加していた日本の専門家が連絡窓口の役割を担うことになり、それまで日本各地で独自に展開していた心理劇関係者の横のつながりを作る必要も生じ、1984年に「日本心理劇連合会」が発会しました。これが日本心理劇学会の前身となる団体です。

サイコドラマは、精神病院などの治療機関での治療、矯正施設や各種教育機関での教育、保健所などの地域保健活動、さらに治療者のトレーニングなどにおいて広く適用されています。対象も、障害者や健常者から治療者までと幅広いものです。

2.演じて気づく人と自分

サイコドラマの構成要素は、監督、補助自我、演者、観客、舞台の5つです。
グループの人数はセッションの目的や対象によって異なりますが、10人前後が適当とされています。
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回のセッションは60分から90分で、ウォーミングアップ、ドラマ、シェアリングの流れに沿って進行します。

全体は監督の指示によって進められます。まずウォーミングアップでは、体操やゲームなどを通じて個人とグループをリラックスさせ、相互の親密性を高めるとともに、個人のイメージを膨らませてドラマの主題を探っていきます。

次に、メンバーの中から主役を募り、舞台上に場面を設定して即興でドラマを創っていきます。この際、メンバーは監督の指示のもとで随時ドラマに参加し、演者になったり観客になったりします。これは役割交替法と呼ばれ、サイコドラマの中で頻繁に用いられる重要な技法の一つです。

監督がドラマの中で2人の演者に互いの役を交替させることにより、相手の立場に立って考えることの重要性や、自分の態度の変化が相手の態度にも影響を及ぼすことを学習できるとされています。

また、補助自我を務める人は、主に主役を支え、ドラマの進行を助けます。

最後にシェアリングの時間を設け、主役を中心にメンバー間で感想を語り合います。この一連の時間を共有する中で、主役を含むメンバーは、個々の問題への直面化、内面の洞察、カタルシス、他者との共感などを体験できるとされています。

 

3.創造性が癒しを生むドラマ

モレノは、人生の価値は創造性にあると述べており、サイコドラマは個人の自発性を刺激して創造性を引き出す有効な手段であると考えました。そして、それによって個人が癒されるだけでなく、人間社会がより高いレベルへと向上していくことが可能であるとされました。

モレノは、役割取得を「その役割になること」と定義し、強制的・義務的な文脈のもとで受動的に受け入れられる行動であると考えました。

これに対し、役割演技(ロール・プレイング)は「役割を演じること」であり、自発性や創造性を駆使しながら実験的・探索的に行動することを意味するとしています。

サイコドラマでは、役割演技を行ったり、相互作用の相手と役割を交替して演じたりすることにより、自分や他者に関する新たな発見が生まれ、カタルシスが生起するなど、治療的・診断的効果があると考えられています。
近年では、こうした文脈を超えて、集団療法や集団研究、コミュニケーション研究など、幅広い分野で利用可能な技法として発展しています。

 

4.余剰現実が心を動かす

最新の研究では、サイコドラマにおけるサープラスリアリティ(余剰現実)の再評価が進んでいます。サープラスリアリティとは、現実では体験できない出来事を舞台上で再構成する機能のことであり、サイコドラマにおいて非常に重要な要素です。近年の研究成果を踏まえ、リワーク(復職支援)の場においてもその活用が進められています。

また、サイコドラマには、言葉ではなく身体を通じて感情処理を促進するという特徴があります。そのため、アレキシサイミア(感情認知困難)や心的外傷後ストレス障害(PTSD)など、感情の言語化が困難である症状を有する精神疾患の治療・支援への活用に注目が集まっています。

さらに、サイコドラマはデジタル化・オンライン化が進んでおり、コロナ以降はオンライン・サイコドラマや、VRを活用したロールプレイなどの研究・実践が展開されています。

日本における近年のサイコドラマの実践は、臨床分野だけでなく、教育、産業、福祉といった分野にも広がっています。たとえば、前述のリワーク(復職支援)においては、サイコドラマを用いた対人関係の再構築が行われています。これは、サイコドラマで職場の状況を再現し、上司や同僚の役を演じることで、「ドラマ」という安全な環境の中で復職後の予行演習ができるという利点があります。

教育分野では、道徳教育やいじめ予防、キャリア教育の一環として、体験型学習としてのサイコドラマの導入が進んでいます。さらに福祉分野では、成人の発達障害支援や社会的スキルトレーニング(SST)などにおいて、対人スキルの体験的学習を促すアプローチとして活用されています。

・初回投稿:2018年2月28日 

・リライト及び新規追加:2026年6月11日 

 

 

著者・編集者プロフィール

この記事を執筆・編集したのはTERADA医療福祉カレッジ編集部

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