心理

2017/4/7

大学受験のストレスに関する心理学的研究

3月末には、学校などでは卒業式がおこなわれたのではないでしょうか。
また、国公立・私立ともに、大学の学部の受験日程が終了し、やっとひと段落したという受験生も多いのではないでしょうか。
大学受験は大きなライフイベントであると同時に、受験正にとってはストレスを感じるイベントでもあると考えることができます。
進路、進学などについては、主に教育心理学発達心理学の観点から研究が実施されています。
受験についても、同様に教育心理学や発達心理学による研究が進められていますが、ストレスが関連するということもあり、一部は臨床心理学の観点からも研究が実施されています。

大学受験とストレスの関係について、高校3年生を対象とした調査研究がいくつか実施されています。
その中で、大学受験のストレスを測定するための尺度(質問紙検査)を開発するという試みが実施されています。

開発に先立って、これから大学受験にのぞむ高校3年生と、就職や既に進学先が決定している高校3年生に対して、既存のストレス測定検査を実施し【受験者】と【非受験者】における心理的な違いについて検討しています。
高校3年生全般を対象に考えれば、受験以外の様々なストレス要因が存在すると思われます。

 

■受験に関する様々な実験・研究


そこで、このように高校3年生を【受験者】と【非受験者】に分けて、その回答傾向の差を検討することで「高校3年生における受験のストレス」を抽出することができるということです。
調査の結果として【焦り】 【危機感】 【不安感】 【プレッシャー】 【緊張感】 【根気の低下】 【集中力の低下】 【現実逃避】 【神経過敏】 【満足感の低下】 【暗い内容の会話の多さ】 【気弱さ】などの項目において【非受験生】よりも【受験生】の方が、有意に得点が高いことが判明しています。

 

これらの項目は「果たして、志望校に合格できるのか?」という不確実性の高さが反映されたものであると考えることができます。
また、別の調査研究では、大学受験をひかえた高校3年生は「志望大学に合格するのに必要な学力と自分の現在の学力とのギャップ」に対して、いらだちや不安・焦燥、疲労、抑うつなどを感じやすいことが判明しています。
一方で「志望校・成績・勉強法について教師から受ける指導」については、いらだちや抑うつを感じることが多少はあるものの、不安・焦燥や疲労、神経過敏などは感じないということが明らかになっています。

 

また、大学受験をひかえた高校3年生のストレスの解消方法を調査した研究も実施されています。
調査の結果、実施される頻度、ストレス解消への有効性の評価、ストレス解消の程度の3つにおいて、いずれも上位となったのは【友達と話をする】 【体育の時間に活発に体を動かす】 【音楽を聴く】 【睡眠を十分にとる】などであることが判明しました。
特に【友達と話をする】という項目は、実施される頻度、ストレス解消への有効性の評価、ストレス解消の程度において全て1位となっています。
このことから、他者とコミュニケーションをとることにストレス低減効果があるということがいえるでしょう。
そして、受験生自身がそのことをある程度把握した上で積極的に【友達と話をする】という行動をとっているのではないかと考えることができるでしょう。
また、因子分析による因子の抽出の結果として【友達と遊ぶ】 【買い物をする】 【長電話をする】 【友達と大声を出して騒ぐ】などの項目が第1因子となってまとまりが認められています。
第1因子は、受験生自身がやりたいと思っていることを実施することでストレスの解消をしていると考えることができるでしょう。
そして、第2因子として【教師に相談する】 【友達に相談する】 【親に相談する】などの項目にまとまりが認められています。
これは、単なるコミュニケーションではなく、他者への相談という行動であり、ソーシャル・サポートと考えることができるでしょう。
ソーシャル・サポートを受けることでストレスが低減するということは様々な研究の結果からも明らかになっており、大学受験をひかえた高校3年生も例外ではないということになると考えられます。

 

 

さらに、大学受験をひかえた高校3年生の考える「大学受験のプラス面」について検討するという調査研究も実施されています。
調査の結果、高校3年生は大学受験に【忍耐力・精神力の向上】 【自己受容の向上】 【友達関係の親密化】 【勉強に対する動機づけの向上】 【将来に対する熟考】というプラスの側面があると考えているということが判明しました。

大学受験は多くに人にとって、人生における分岐点となるものです。
そのため、大きなストレス要因となることもあります。
大学受験とストレスの関係についての研究はまだ少ないので、今後もさらなる研究成果の蓄積が期待されています。
 

著者・編集者プロフィール

この記事を執筆・編集したのはTERADA医療福祉カレッジ編集部

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