コラム

サイコドラマとは

2018.2.28 心理
  • 心理カウンセラー
  • こころ検定(R)

 

 

サイコドラマ(心理劇)とは、モレノによって創始された即興劇の方法を用いた集団心理療法の1つです。

日本では、1950年代に外林大作や松村康平らが初めて紹介し、一般的には「心理劇」とよばれ臨床的に発展してきたものです。

 

また、日本には「日本心理劇学会」という学術団体があります。
日本心理劇学会は1983年にメキシコでかいさいされた第8回国際集団精神療法学会において、サイコドラマ部門を創設しようという動きに端を発します。
この学術大会に参加していた日本の専門家が連絡窓口の労を担うことになり、それまで日本各地で独自に展開していた心理劇関係者の横のつながりを作る必要も生じ1984年に「日本心理劇連合会」が発会しました。これが日本心理劇学会の前身となる団体でした。

 

サイコドラマは精神病院等の治療機関での治療、矯正施設や各種教育機関での教育、保健所等の地域保健活動、さらに治療者のトレーニングなどにおいて広く適用されており、対象も障害者、健常者から治療者までと幅広いものです。

 

サイコドラマの構成要素は、①監督、②補助自我、③演者、④観客、⑤舞台の5つとなっています。
グループの人数は、そのセッションの目的や対象により異なりますが、10人前後が適当であるとされています。
1回のセッションは60分から90分で、ウォーミングアップ、ドラマ、シェアリングの流れにのって進行します。
全体は監督の指示によって進められますが、まずウォーミングアップでは、体操やゲーム等を通じて個人とグループをリラックスさせ、相互の親密性を高めるとともに、個人のイメージを膨らませてドラマの主題を探していきます。

 

次にメンバーの中から主役を募り、舞台の上に場面を設定して即興でドラマを創って行きます。
この際、メンバーは監督の指示の下に随時ドラマに参加し、演者となったり観客となったりします。
これは、役割交替法とよばれ、サイコドラマの中で頻繁に用いられる重要な技法の1つです。

 

監督がドラマの中で、2人の演者に互いの役を交替させることにより、相手の立場に立って考えることの重要性と、自分の態度の変化が相手の態度にも変化を及ぼすことを学習できるとされています。

 

また、補助自我を務める人は、主に主役を支えドラマの進行を助けます。

 

最後にシェアリングの時間をとり、主役を中心にメンバー間で感想を語り合います。
この一連の時間を共有する中で、主役を含むメンバーは個々の問題に対する直面化、内面の洞察、カタルシス、他者との共感などを体験することができるとされています。

 

 

モレノは人生の価値は創造性にあると述べており、サイコドラマは個人の自発性を刺激して創造性を引き出すのに有効な手段であり、それによって個人が癒されるだけでなく、人間社会がより高いレベルに向上していくことが可能だと考えていました。

 

モレノは役割取得をその役割になることと定義し、強制的・義務的な文脈の下に受動的に受け入れられる行動であると考えました。

 

これに対し、役割演技(ロール・プレイング)は役割を演ずることであり、自発性や創造性を駆使しながら実験的・探索的に行動することを意味するとしています。

 

サイコドラマでは、役割演技を行ったり、相互作用の相手と役割を交替して演ずることにより、自分や他者に関する新たな発見が行われ、カタルシスが生起するなど、治療的・診断的効果があると考えられています。
近年では、こうした文脈を越えて、集団療法や集団研究、コミュニケーション研究など幅広い分野で一般的に利用しうる技法として発展を遂げています。

 

 

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