心理

2020/11/3

感情の良い側面と悪い側面

私たちは様々な感情を感じている中で、感情によって支えられることもあれば、時には感情に振り回されてしまうこともあります。

私たちは日々、様々な感情を感じながら生活しています。心理学においても、感情心理学という分野があり、精力的に研究が進められています。その結果、私たちは感情に支えられることもあれば、時には感情に振り回されてしまうこともあるということが判明しています。

 

私たちは支えてくれる感情の代表的なものとして、自尊心があります。自尊心は自分自身に対する評価の感情で、基本的に「自分は価値あるもの」と捉える感覚のこと。自尊心は当事者が常に意識できているわけではないものの、本人の言葉・行動や意識・態度の基本的な方向性を決定するものになります。

 

自尊心があることで、私たちは積極的・意欲的に経験を積み重ね、満足感・受容感を保つことができます。従って、自尊心はメンタルへルスの基盤となるものであるといえます。

 

自尊心は「成功 ÷ 願望 = 自尊心」という数式で表すことができるとされています。これは、大きな成功を収めれば、その分、自尊心が満たされることを示しています。しかし、成功を収める前の願望が強ければ強いほど、事前に期待感が膨らんでしまった分、実際の成功から得られる満足感などは割り引かれてしまうわけです。

 

そのため、願望(期待感)が大き過ぎると、たとえ成功を収めても、自尊心は満たされないというケースもあるのです。つまり、理想の自分と現実の自分の間に「ギャップ」があるほど、成功しても自尊心が満たされないということです。

 

このように、自尊心は私たちの行動を支え、人生を豊かなものにしてくれる原動力でもあると同時に、満たされないことがストレスとなってしまうものでもあるのです。

 

自尊心のようなポジティブな感情には、意思決定・選択行動に対して影響力があることも知られています。同様にネガティブな感情も意思決定・選択行動に影響を及ぼすことも判明しています。

 

気分一致判断とよばれる現象として、ポジティブな感情を抱いている時、私たちは好意的・肯定的な判断をしやすくなります。逆にネガティブな感情を抱いている時、私たちは批判的・否定的な判断をしやすくなります。

 

これは、自分のその瞬間の気持ちに判断が左右されてしまっているということであり、冷静な判断力を欠いているということになります。

 

感情が意思決定・選択行動に与える影響は気分一致判断のように「ポジティブ = 良い方向性」・「ネガティブ = 悪い方向性」というような単純なものではありません。ポジティブ感情は、クリエイティブな問題解決が可能にしたり、柔軟なカテゴリー化を実施することができたり、新奇性の高い連想ができるなどのメリットがあります。

 

一方で、ポジティブ感情を抱いていると同時に、比較的安全な状況で積極的にリスキーな意思決定・選択行動をしてしまうという傾向もあります。また、あまり安全ではない状況では慎重に振る舞うことも判明しており、これは自分のポジティブな感情を保とうとするためであるとされています。

 

つまり、楽しい・嬉しい・面白いという感情には、クリエイティビティを高める効果があるものの、この「ポジティブな状態」を維持することに力を注いでしまい、本来実施すべきはずの、創造性の高い活動や合理的な意思決定を阻害してしまうのです。

 

逆にネガティブ感情が意思決定・選択行動に及ぼす「良い」影響もあります。これは、抑うつのリアリズムとよばれる現象です。抑うつのリアリズムとは、抑うつ傾向のある人は、そうでない人と比較して、利益や損失に対する認知がより正確になるという仮説です。

 

実験の結果、抑うつ傾向の無い人は、利益と損失に対してポジティブに歪んだ判断を下しているのに対して、抑うつ傾向のある人は、あまり判断が歪んでおらず、より現実的になるということが判明しています。このように、感情は複雑に私たちの生活に影響を及ぼすものなのです。

 

感情に関する心理学については、こころ検定4級の第6章で概観していますので、興味・関心のある方は、是非、勉強してみていただければと思います。

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