コラム

パーソナリティ心理学と血液型の関係

2022.4.21
  • パーソナリティ心理学
  • 性格

パーソナリティ心理学の分野では、血液型とパーソナリティの関係性が研究されています。 

 

 

 

心理学の分野において、血液型とパーソナリティに関連があるのではないかという理論が提唱されたことが過去にありました。

ちなみに、現在、一般的に広まっている血液型と性格の概要は次のようなものです。

 

A型は真面目で気配りができるが、神経質で周囲を気にすることも多く、頑固である。

 

B型は好奇心旺盛で独創的、社交的。好き嫌いが激しく、衝動的である。

 

O型は行動力があり、裏表が少なく、大らかであるが、大雑把で自信家な面もある。

 

AB型は感受性が強く、クールで独創的だが面倒を嫌い、打算的なところがある。
このような血液型性格診断が一般的ではないでしょうか。
 

 

 

自分の血液型と性格的な特徴は果たして、一致しているでしょうか。
当たっているという人もいれば、自分には当てはまらないという人もいるのではないでしょうか。
個人の実感には違いがあるわけですが、では、科学的な研究において血液型と性格の関連性は明らかになっているのでしょうか。
 

 

 

心理学における現在までの研究において、血液型とパーソナリティの関係については否定的な研究成果が多く、関連はないと考えられています。
ただし、血液型と性格の関連に関する研究や議論自体が日本以外ではほとんど実施さていません。

 

これは、日本以外の諸外国、特に欧米では、そもそも自分の血液型を知らないという人も多いからです。

 

では、特に日本において、なぜ、こんなにも“血液型占い”や“血液型性格診断”などに対する興味・関心が強いのでしょうか?

 

 

日本の女性雑誌に掲載されている“血液型占い”や“血液型性格診断”などを調査した研究では、生まれた時から変わりようのないものである血液型によって、自分自身や他者の認知・感情・行動を規定していくことが、ある種“楽なこと”であるからだという結果が報告されています。

 

血液型を物事の判断基準にするということは「一生涯、1つの基準で考えればいい」「種類が4つだけなので、複雑な事を考えずにすむ」というメリットがあります。

 

結果として、“○○型は△△という傾向がある”という認識と同時に、“私は○○型だから、△△のように振舞わないと「らしくない」と思われてしまう”というように、広く社会に流布されている情報に自分自身を合わせようとしてしまっている可能性が高いといわれています。

 

つまり、血液型で性格が決まるのではなく“決まっている血液型の特徴に合わせないといけないと考えてしまう”ということです。 

 

 

心理学の分野では、上記のような研究をはじめとして、300件以上の血液型とパーソナリティ(性格)に関する研究が実施されています。

 

その結果、血液型とパーソナリティ(性格)には、現時点で関連は認められないという結論が出ています。
しかし、研究成果とは裏腹に、日本では
1970年代に血液型性格診断や血液型占いなどがブームとなり、80年代にピークをむかえました。

 

これに対して、主に社会心理学者が科学的な根拠に基づいて、血液型とパーソナリティの関係性について批判をしたものの、現在に至るまで、日常生活における“血液型性格診断”の影響力は大きいものです。
これには、テレビ等のメディアの影響が強いと考えられています。
 

 

 

一度、発表された結果やそれに基づく理論は必ずしも正しいとは限りません。
しかし、“絶対に間違っている”という根拠もまだない状態でもあります。

 

従って、“仮の説”として“仮説”というわけであり、“血液型性格診断”も“仮説”であるといえます。
しかし、テレビ等のメディアで取り上げられると、“仮説”が“事実”として認識されてしまうことが多いのです。
 

 

 

パーソナリティ心理学をはじめとする、心理学の各分野は科学的根拠に基づいた手法によって、研究を進めるものです。
従って、テレビでやっていた”ということだけを根拠とするのではなく、科学的・論理的・客観的に物事を分析することが重要となるのです。
 

 

 

人間の性格傾向については、こころ検定の3級の第2章で概観していますので、興味・関心がある方は、是非、勉強してみていただければと思います。 

 

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この記事を執筆・編集したのはTERADA医療福祉カレッジ編集部

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