コラム

8月生まれの心理学・カウンセリング・メンタルへルスの専門家 Part4

2020.9.3 心理
  • 生理心理学
  • こころ検定4級

心理学・カウンセリング・メンタルケアの専門家には、8月生まれの著名な先生方がいます。
ヘルマン・ルートヴィヒ・フェルディナント・フォン・ヘルムホルツは生理心理学の草創期に活躍したことで有名です。

 

※初めに、9月に「8月生まれの心理学・カウンセリング・メンタルへルスの専門家 Part4」の公開となり読者の皆様には公開が遅れて申し訳ありません。

 

ヘルマン・ルートヴィヒ・フェルディナント・フォン・ヘルムホルツ

ヘルマン・ルートヴィヒ・フェルディナント・フォン・ヘルムホルツは1821年8月31日生まれのドイツの生理学者・物理学者・心理学者です。

 

ヘルムホルツは1838年にドイツ・ベルリンのフリードリヒ・ヴィルヘルム医学学校に入学し、医学・生理学だけでなく、化学や数学を学んでいます。

 

そして、1842年に無脊椎動物の神経繊維と神経細胞に関する研究により、博士号の学位を取得しています。
1849年には、数々の研究業績が認められ、ケーニヒスベルク大学の生理学の教授に就任しました。

 

その後、1855年にはボン大学の生理学教授、1858年にハイデルベルク大学の生理学教授、1871年にはベルリン大学で物理学の教授を務める等の華々しい活躍しています。

 

また、1887年以降はシャルロッテンブルク国立理工学研究所の理事も兼任しました。
また、科学的心理学の先駆けとなったヴィルヘルム・ヴントは、ヘルムホルツの助手としてキャリアをスタートさせているということも重要です。

 

このころのヴントの関心は主に生理学の領域でしたが、ヘルムホルツの下で感覚に関する研究に従事したことから、次第に心理学や認識論の領域に関心を寄せるようになりました。

 

科学的な心理学のスタートは、ヘルムホルツの功績も大きいということなのです。これらの研究業績から、ヘルムホルツは19世紀を代表する科学者の1人であるとされています。
代表的な業績には以下のようなものがあります。

 

【ヤング・ヘルムホルツの法則】

 

人間の目の網膜の中には、赤・青・緑のそれぞれの波長の光に最もよく反応する神経細胞が存在するという仮説であり、この反応の程度によって、私たちは様々な色を識別できているというものです。

 

光の三原色説は非常に有名ですが、それを生理心理学的な観点から検討したのが、ヘルムホルツとヤングなのです。
それ以前の仮説としては、生理学者のロモノソフやパーマーが同じく三原色説を提唱していました。

 

しかし、ロモノソフらが提唱したのは、あくまで光自体が三原色から成立していて、眼の受容器も各原色のみに反応するというものでした。
これに対して、まずヤングは混色の三色性という事実を科学的な実験によって明らかにしました。

 

最初により科学的な三原色説を提唱したのはヤングですが、それをより発展させ、残像の色彩や色盲についての説明も理論的に可能にしたのがヘルムホルツなのです。
そのため、この法則には2人の名前が冠されています。

 

【共鳴説】

 

ヘルムホルツが提唱した古典的聴覚理論で、音の周波数分析は脳ではなく内耳の蝸牛基底膜の振動によって行われるとする仮説です。

 

基底膜を構成する線維の長さはピアノの弦のように基底部から蝸牛頂にかけて長くなっていることから、低い音は基底部で、高い音は蝸牛頂で線維の共鳴が発生し、その際に発生する電流が大脳に伝えられて聴覚が発生するという考え方です。

 

つまり、聴覚では短い神経線維は高音、長い神経線維は低音に反応するということであり、弦楽器と同じメカニズムが、私たちの人間の耳にもあるということです。

 

【機械論】

 

科学概念として、ヘルムホルツは機械論の立場をとっていました。
これは、動物や人間の行動を考える際に心(意識)といった概念を必要とないというものです。

 

心や意識(無意識)とは、実際には物質的なメカニズムに依存しており、それに対応する神経系統の事象の反映であるというのが機械論の基本的な考え方です。

 

つまり、生理学的な現象は全て、物理的・化学的な過程で説明ができるということなのです。
この機械論は、生理心理学だけではなく、学習心理学や認知心理学においても重要な基礎概念であり、特に学習心理学における条件づけは、機械論の影響を強く受けているといえます。

 

ヘルムホルツが端緒を開いた生理心理学については、こころ検定4級の第3章で概観していますので、興味・関心のある方は、是非、勉強してみていただければと思います。

 

 

 

著者・編集者プロフィール

この記事を執筆・編集したのはTERADA医療福祉カレッジ編集部

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