心理

2020/2/27

怒りの心理学

怒りは人間における基本的な感情の1つであると同時に、上手にコントロールする必要のある感情であるといえます。

怒りは心理学の中でも、特に感情心理学の分野において、人間の基本的感情の1つとされています。

 

怒りの感情に関する研究において、怒りは欲求充足が阻止された時にその阻害要因に対して生じるとされており、怒りに対応する基本的行動次元として「攻撃」や「破壊」があるとされています。

 

怒りに伴う攻撃行動は動物にも認められることが判明しており、自分の所有空間に他の個体が進入しようとすると、それを阻止しようとすることで発生するものであるとされています。

 

また、生理心理学的には、怒りの状態では交感神経系が活性化し、血圧の上昇、心拍数の増加などが起きることが分かっています。

 

また、感情経験は顔面筋などの活動によって引き起こされる脳内血管系の温度変化によるという、感情の血流理論とよばれる理論も提唱されています。

 

心理学者のザイアンスおよびワインバウムは、顔面筋の活動などにより海綿静脈洞内の血液量や空気量が変化することで、脳へ送り込まれる内頸動脈の血液温度が変化するが、これが感情によって異なるというものです。

 

たとえば、怒りや悲しみなどを表す動きはその温度を上げ、不快感を伴うとされています。

 

逆に幸福など快を表す顔面筋の動きは血液温度を下げ、快感を伴うとされています。

 

また、人間の怒りの表情は人種や文化を越えて類似しており、眉が引き寄せられて下がり、口が四角く開かれるというものになります。

 

これは、私たちがまだ動物的だった祖先の頃から引き継いだものであるとされています。

 

そのため、人種を超えた人類共通の要素なのです。

 

怒りの表情を進化論的な観点から論じているのはダーウィンであり、表情の三原理という理論を提唱しています。

 

ダーウィンは感情の起源を連合的習慣・反対・神経系の直接作用という三原理で説明できると述べました。

 

連合的習慣の原理とは、人間や動物の感情表出はそれまで有用であった身体運動が習慣化したものであるというものであり、たとえば、歯をむき出しにするという表情が闘争に役立った経験があるため、それが現在の怒りの表情となったというものです。

 

反対の原理とは、たとえば怒りと恐怖のような対立する感情は、同様に耳を立てることと耳を伏せることというように反対の身体動作や行為を喚起するというものです。

 

神経系の直接作用の原理とは、無用と思われる表情も神経系の成り立ちから説明されるとするものであり、現在の人間社会ではそれほど大きな意味や影響を持たないものも、進化論的にかつては重要な要素であったという考え方です。

 

人間の場合、怒りの表出は精神的な発達とともに変化します。

 

幼少期には欲求阻害要因に対して、直接的に怒りを表出し、身体的な攻撃行動を行います。

 

しかし、発達に伴い言語による攻撃や「やつあたり」のような攻撃が出現したり、自分自身に怒りの矛先が向き、自虐的になるなどのより複雑な行動をとるようになります。

 

このように、怒りという感情は感情心理学・生理心理学・発達心理学などだけでなく、進化論とも関連するものなのです。

 

一般的に怒りは社会的に受け入れられないものなので、その表出を抑制したり、社会で受け入れられる形で表出するようになっていきます。

 

しかし、いつも完璧に怒りの感情をコントロールできるわけではありません。

 

フロイトが提唱した精神分析理論における防衛機制において、昇華と攻撃機制という、相反する現象について述べています。

 

昇華とは、社会的に容認されない欲求を解消するために、社会的に容認可能な行動に置き換えて充足させるというものです。

 

怒りの感情との関連でいえば、激しい怒りは社会的に容認されませんが、それを闘争心や競争心に置き換えることで、スポーツや格闘技などで良い成績をおさめることができるかもしれないわけです。

 

攻撃機制とは、欲求不満に関連する対象に対して、攻撃行動を行うというものです。

 

いわゆる、欲求充足を阻止しようとする他者に向けた怒りの直接的な表出です。

 

ただし、攻撃によって問題が改善・解決することはなく、さらに問題を悪化させる可能性があります。

 

怒りを含む感情については、こころ検定4級の第6章で概観していますので、興味・関心のある方は、是非、勉強してみていただければと思います。

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