統計の日と心理学には、どのような関係があるのでしょうか
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日本では365日の全てに何らかの記念日が制定されています。10月18日は「統計の日」に制定されています。これは1870年10月18日に日本の生産統計の起源となった府県物産表に関する太政官布告が公布されたことがきっかけとなっています。この日は国民に統計の重要性に対する関心と理解を深めてもらい、統計調査に対してより一層の協力をしてもらうことが目的となっています。また、総務省を始めとする各府省や地方公共団体では、この日に合わせて「統計の日」ポスターの作成・掲示などを通じた広報活動を実施したり、講演会・展示会の開催、統計功労者の表彰などの諸行事を実施したりしています。
なお、日本以外ではそれぞれの国で統計の日を制定しています。例えば、インドでは6月29日、世界統計デーとして10月20日が制定されているなどがあります。
では、統計と心理学には、どのような関係があるのでしょうか。
統計学の中に心理統計学というものがあります。心理統計学は大学の学部でも必修の内容であり、心理カウンセラーが科学者としての視点を持ちながら活躍するためにも重要なものです。心理カウンセラーになりたいと考えている大学生が必ず勉強しなければならないカリキュラムがいくつかあります。心理カウンセリングは心理学の応用であるため、基礎心理学をしっかりと学ぶ必要があります。また、心理カウンセラーの世界基準である「科学者-実践者モデル」では、心理カウンセラーは心理学者でなければならないと定められています。従って、実験や調査が実施でき、収集したデータを分析して論理的な結論を導けなければなりません。科学者としての視点、研究者としての視点は心理カウンセラーには必須であり、心理カウンセラーとして活躍するための重要な要素です。これらの心理カウンセラーの必須能力の中でも、苦手と感じる方が多いのが心理統計学ではないでしょうか。
心理カウンセリングが上手く行き、クライエントの抱える問題が改善・解決したとしましょう。そこで「良くなったのだから、それでいい」ではなく「なぜ、良くなったのか?」について、しっかりと科学的な観点から捉えなければなりません。そのため、心理カウンセラーは常に以下のようなことを考えながら、カウンセリング・アセスメントを進めていく必要があります。
これはカウンセリングが上手くいっていても、上手くいなくても、どちらにしても考えなければなりません。偶然に上手くいっただけであれば、それは「次も上手くいく保障はない」ということを意味します。そして、上手くいっていないのであれば「どうすれば現状から変化させて、上手くいく方向に転換できるのか?」について、論理的に考察する必要があります。カウンセリング・アセスメントにおける様々なデータは、適切に分析・処理することで、はじめて有益な情報となります。クライエントがカウンセリング中に述べたことは全て“情報”です。また、心理検査などの結果も全て“情報”です。しかし、これらは心理カウンセラーが分析・処理しなければ“ただの情報”でしかなく、問題の改善・解決のための「役に立つ情報」とはなりえません。こういった情報を「科学的に」「正確に」「分かり易く」扱う際に重要となってくるのが、心理統計学的な分析・処理なのです。統計的な分析をすることで、出来事や現状はより明確により分かり易くなります。
このように、心理カウンセラーをはじめとする心理専門職にとって、統計学の知識は非常に重要なものであり、研究と実践のどちらにとっても必須のものとなっています。心理統計学については、こころ検定3級の第5章やこころ検定1級の精神医科学緒論のテキストでも概観していますので、興味・関心のある方は、是非、勉強してみていただければと思います。
この記事を執筆・編集したのはTERADA医療福祉カレッジ編集部
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