これからのストレスチェック制度はどうなっていくのか。本コラムでは、ストレスチェック制度の今後について解説していきます。
【目次】
これからのストレスチェック制度はどうなっていくのか。本コラムでは、ストレスチェック制度の今後について解説していきます。
前回のコラムでは、ストレスチェック制度のこれまでについて解説しました。2015年にスタートしたストレスチェック制度は、2025年で10年目を迎え、これまでの成果と課題がそれぞれ浮き彫りになっています。そこで本コラムでは、ストレスチェックの「これから」について解説していきたいと思います。
ストレスチェック制度については、主に産業・組織心理学を中心に多くの研究報告がなされており、その中でさまざまな課題が指摘されています。まず、年に1回、基本的には57項目の質問に回答するだけであるものの、日々の業務で多忙を極めるビジネスパーソンにとっては負担に感じられることが多い、という問題があります。
また、高ストレス者と判定されても、産業医との面談は事業所から推奨されるにとどまり、実際に面談を受けるかどうかは労働者本人の判断に委ねられています。そのため、多忙な業務の合間を縫って産業医面談を受けることに負担を感じ、高ストレス者であるにもかかわらず面談を受けていない労働者が非常に多いことが指摘されています。
さらに、自身の回答結果が職場に伝わることで、不利益な取り扱いを受けるのではないかという不安を感じている人が多く存在することも明らかになっています。加えて、毎年ストレスチェックに回答しても同じような結果が出るだけで、心身の健康状態や仕事のパフォーマンスの改善につながらない、あるいは職場環境の改善が行われない、といった不満も多く見受けられます。
こうした背景から、多くの事業所でストレスチェック未受検者が増加するという問題が発生しています。労働安全衛生法では、事業所側に対して年1回のストレスチェック実施を義務付けている一方で、労働者には受検義務がありません。そのため、受検するかどうかは労働者が自由に選択できます。結果として、ストレスチェックに「意味がない」と感じる労働者が増えると、未受検者も増加してしまいます。
その結果、事業所は組織全体のストレス状況やメンタルヘルスの実態を把握できず、離職・休職、さらには労働生産性の低下といった問題を見過ごしてしまう可能性が高まります。
このようにストレスチェック制度は、さまざまな課題を抱えながら、2025年で10年目を迎えました。近年では、ハラスメント対策やリモートワークなど、産業場面における新たな潮流への対応も求められています。
そうした中、2025年はストレスチェック制度にとって大きな転換点となりました。それが労働安全衛生法の改正です。3月に実施された改正では、多様な人材が安全・安心して働ける職場環境の整備推進、個人事業者等に対する安全衛生対策の推進、化学物質による健康障害防止対策の推進、機械等による労働災害防止の促進、高年齢労働者の労働災害防止の推進、そして職場のメンタルヘルス対策の推進が盛り込まれました。この「職場のメンタルヘルス対策の推進」における重要なポイントが、ストレスチェック制度の見直しと改善です。
従来、ストレスチェックは「常時使用する労働者が50名以上」の事業所において、年1回の実施が義務付けられていました。しかし今回の改正では、この労働者数の要件が撤廃され、労働者数にかかわらず、すべての事業所でストレスチェックの実施が義務化されることになりました。
ただし、すぐにすべての事業所で対応することは難しいと考えられることから、細かな規定については今後さらに検討が進められる予定です。厚生労働省は、全事業所での義務化について「3年以内を目途に実施する」としています。
このようにストレスチェック制度は、2025年の大きな法改正を契機として、「これまで」を踏まえた新たな「これから」へと進んでいくことになります。課題が完全に解消されたわけではない中で、適用範囲が大幅に拡大し、中小・零細企業を含むすべての事業所で義務化されることにより、一定の負担や混乱が生じる可能性も否定できません。
そこで、ストレスチェックプランナー協会と教育ナビゲーション株式会社では、eラーニング研修講座として「ストレスチェック実務担当者・実施事務従事者研修(初級)」を開講しています。本研修では、現在のストレスチェック制度に関する基本事項を網羅的に学ぶことができます。
厚生労働省は、2025年から3年を目途に、全事業所でのストレスチェック義務化を進める方針を示しています。まずは本講座を通じて「ストレスチェックのこれまで」をしっかりと理解し、これから訪れる「ストレスチェックのこれから」に備えていただければ幸いです。
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この記事を執筆・編集したのはTERADA医療福祉カレッジ編集部
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