コラム

未病の日と心理学の関係

2026.3.12 心理
  • 健康心理学
  • 臨床心理学
  • ストレス

未病の日と心理学には、どのような関係があるのでしょうか
 

【目次】

  1. 1.3月20日は「未病の日」
  2. 2.心と体の未病サイン
  3. 3.心理ケアで防ぐ未病
  4. 4.まとめ

 

1.3月20日は「未病の日」

日本では365日のすべてに何らかの記念日が制定されています。320日は「未病の日」に制定されています。これは株式会社ブルックスホールディングスが制定したものです。

日付の由来は、320日が体調を崩しやすい季節の変わり目である春分の日であり、日頃の生活習慣に目を向けてもらいたいとの願いが込められているためです。また、「未(3)病(20)」と読む語呂合わせにもなっています。

そもそも、未病とは東洋医学において、明確な病気ではないが体調がすぐれない状態と定義されています。同社が未病を改善する取り組みを推進する神奈川県と連携し、神奈川県大井町と協働しながら「未病バレービオトピア」を運営しており、この活動を多くの人に知ってもらうことも「未病の日」の目的となっています。未病バレービオトピアでは、食・運動・癒しなど様々な方面からの未病に対してアプローチしています。ビオトピアは神奈川県西地域の未病の戦略的エリアの拠点施設となっています。また、未病の見える化などの機能を有する神奈川県によるプレゼンテーションスペースである県展示施設や未病関連のあらゆる商品・サービスが一堂に見られるスペースでイベントやセミナーも開催される未病メッセ、薬膳カフェであるニコロジーク、未病のコンセプトの下に集められた、地元の食材や健康にこだわった商品が揃うヘルシーフード・マルシェ、五感をゆるやかに開放するための遊歩道・森のみちなど、未病のための様々な施設と環境が整えられています。

では、心理学と未病には、どのような関係があるのでしょうか。

 

2.心と体の未病サイン

一般的に未病については、医学的な身体症状が注目されることが多いです。しかし、臨床心理学や健康心理学の観点においても、未病は心と身体のバランスが崩れ始めた初期段階であると定義しています。たとえば、臨床心理学・健康心理学における未病の特徴として、抑うつ状態が続くこと、疲労感や倦怠感が続くこと、イライラしやすい状態、集中力や意欲の低下、睡眠の質の低下などが挙げられます。

これらの状態はうつ病や不安障害の診断基準に含まれるものが多く存在しています。ただし、これら全てを満たしていたとしても、これらだけでは診断されることはないため「診断の一歩手前」という意味では未病の段階であるといえます。そして、これらの状態を放置するとうつ病等の発症リスクが高まります。各種メンタルヘルス不調は突然起こるものではなく、前兆があるとされています。これは健康な状態から未病な状態へ、そして精神疾患の発症へと連続的なプロセスを経て生じます。

精神疾患へとつながる可能性のある未病ですが、この段階は可逆性が高いとされています。未病の段階では心理的介入や生活習慣の調整、ストレス対処の改善によって元の健康状態に戻りやすいことが判明しています。なお、健康心理学では未病の段階に至る最大の要因の一つを、慢性的ストレスであるとしています。

 

3.心理ケアで防ぐ未病

慢性的にストレスによって、心理的ストレスの蓄積が起こり、自律神経の乱れが発生します。その結果、睡眠・食欲・免疫機能などの低下が起こり、気分の不安定化や意欲の低下が引き起こされ、未病の状態となってしまうわけです。ただし、この段階では当事者は病識があるわけではないため、未病のサインが見逃されてしまうことも多いです。

未病における精神面のサインとして、理由のない不安や喜びを感じにくい状態、悲観的思考、自己否定の増加、活動量の低下、先延ばし思考、肩こり、頭痛、胃腸不調などが挙げられます。これらは後半の身体症状の問題として、当事者が医療機関を受診することが多いですが、根本的な治療・支援としては精神面へのアプローチが重要となります。

未病への予防対策として、ストレスと心身の関係を正確に把握する心理教育が重要となります。また、ストレスへの対処(コーピング)について、問題焦点型コーピングと情動焦点型コーピングを上手く使い分けることも大切です。そして、認知行動療法的なアプローチとしては、いわゆる「すべき思考」や「~でなければならない思考を修正し、過度な自己責任感を軽減することが求められます。さらに、生活習慣への心理学的介入も重要となります。たとえば、睡眠衛生や運動習慣、マインドフルネスなどを未病の段階で取り入れていくことには大きな意味があります。

 

4.まとめ

このように、未病の段階こそ臨床心理学や健康心理学の知見がフル活用できる段階であるといえます。

 

 

著者・編集者プロフィール

この記事を執筆・編集したのはTERADA医療福祉カレッジ編集部

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