コラム

10月生まれの心理学・カウンセリング・メンタルへルスの専門家 Part3

2019.10.29
  • 認知心理学
  • こころ検定4級

心理学・カウンセリング・メンタルケアの専門家には、10月生まれの著名な先生方がいます。
エリザベス・ロフタスは記憶と目撃証言の関係について研究したことで有名です。

 

 

 

▶エリザベス・ロフタス

エリザベス・ロフタスは1944年10月16日生まれのアメリカの認知心理学者です。

 

カリフォルニア州ロサンゼルスで生まれたロフタスは、1966年にカリフォルニア大学ロサンゼルス校で数学と心理学の学士号を取得し、1967年にはスタンフォード大学で心理学の修士号、1970年に同大学で心理学の博士号を取得しています。

 

ロフタスは私たちの記憶がいかに曖昧なものなのかについて、認知心理学の観点から研究しています。

 

まず、意味記憶からの情報検索に関する研究に従事したロフタスは、記憶研究の立場から目撃者証言の信用性に関わる諸要因の解明に従事しました。

 

これは、事後情報効果とよばれるものです。

 

ロフタスは被験者に短い映画を見せて、映画を見終わってから半数の被験者には「田舎の道を走って小屋を過ぎた時に、白いスポーツカーはどれほどの速度で走っていたか」という映画にはなかった小屋の情報を加えた質問をしました。

 

残りの半数は「止まれの標識を過ぎたとき、白いスポーツカーはどれほどの速度で走っていたか」という映画の内容と一致した質問をしました。
1週間後に「あなたは小屋を見たか」と質問されると、前者の質問を受けた被験者の17.3% が「はい」と回答したが、後者の質問を受けたグループではたった2.7% しか「はい」と回答しませんでした。

 

また、ロフタスとパーマーは、自動車事故に関する映画を被験者に見せた後に、「自動車が激突した時に、車はどれほどの速度で走っていましたか」といった質問を実施しました。

 

そして、この質問の変形として「激突した」という動詞を変化させて「衝突した」・「突き当たった」・「ぶつかった」・「接触した」などの言葉を使用した質問も実施されました。

 

結果は「激突した」という動詞で質問した被験者の速度の報告が最も速く、これらの衝突の程度を表現する言葉の違いによって、報告される速度に影響が現れることが示されました。

 

さらに別の実験では、割れたガラスがオリジナルの出来事にはなかったにもかかわらず「割れたガラスを見ましたか」との質問に対して「激突した」を使用した質問の方が「ぶつかった」を使用した質問より多く「はい」と回答する人が多いという結果となりました。

 

このように、ロフタスの研究は、私たちの記憶が現実世界のコピーではなく、積極的に現実世界からの情報を再構成した結果として産み出されるものであるということを明らかにしたのです。

 

私たちは、見ていない・聞いていない事柄についても、質問されると“思い出してしまう”という非常に困った認知の“クセ”を持っているのです。

 

また、質問の際の言葉に引きずられて、実際に起きた出来事を“脚色”してしまうこともあるのです。

 

そして、これらの問題は犯罪における目撃証言にも影響を及ぼすことが判明しています。

 

何らかの出来事を経験した後に、その出来事に関連した情報を与えられると、目撃者がオリジナルの出来事の記憶ではなく、事後に与えられた情報もしくはオリジナルの出来事と事後の情報を混合した内容を報告してしまうのです。

 

つまり、何らかの事件を目撃者が目撃した後で、ニュースや第三者や捜査機関の人物から情報を見たり聞いたりすることで、その情報のためにオリジナルの記憶が変形したり、再構成されたり、また失われるということが起きてしまうのです。

 

事故情報効果の影響は深刻であり、全く無関係な人が犯罪の容疑者にされてしまったり、全くありもしないことを“思い出した”と勘違いした人から訴えられてしまったり、司法・裁判の場面で混乱をもたらすことがあります。

 

しかし、ロフタスが研究成果に基づいて専門家として裁判に関わることで、より科学的で正確な目撃証言の検討が実施されるようになりました。

 

ロフタスは事後情報効果に関する研究が評価され、2002年に20世紀で最も影響力のある100人の心理学研究者の58番目に選出されています。

 

記憶については、主に認知心理学で検討されており、こころ検定4級の2章で概観されていますので、興味・関心のある方は、是非、勉強してみていただければと思います。

 

 

著者・編集者プロフィール

この記事を執筆・編集したのはTERADA医療福祉カレッジ編集部

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