心理

2022/3/3

「たとえ話」とは?

「たとえ話」という観点からの心理学 


 物事を分かり易く説明するために、「たとえ話」を活用することがあります。これは心理学的には、どのようなものなのでしょうか。 

 

【メタファ(隠喩)】 


メタファとは、主題となるものをたとえる語を類似性・包含関係・イメージに基づいて結びつけた修辞表現のことを指します。ここで、比喩指標(例:~のようだ、~みたいだ)がという表現がないものを隠喩、指標のある表現を直喩とよびます。 

 

■特徴メタファ 


「恋愛は蜂蜜のようだ」という「たとえ話」を考えてみましょう。主題である「恋愛」とたとえる語「蜂蜜」の比較あるいは相互作用によって類似特徴(甘いなど)が顕在化し、主題の意味が変化します。 

 

■関係メタファ 


「自分の部屋は心の鏡」という「たとえ話」では、関係の類似性(部屋:心/:鏡)という関連性の発見があります。 

 

■概念メタファ 


「人生は旅だ」という「たとえ話」があります。概念領域である「旅」を「人生」に構造転移させ、両者に構造的類似性が成立するということになります。さらには、関連性として一貫性のある複数の比喩を生み出すこともあります。(例:人生の分かれ道、道連れなど) 

同様のメタファには、人の領域を他の領域に転移する擬人化(例:悲しい雨など)、異なる感覚領域に意味を転移する共感覚的メタファ(例:味覚→聴覚「甘い声」)などがあります。 

 

■類包含陳述 


さらに、メタファには類包含陳述とよばれるものがあります。たとえば「心は海だ」は主題である「心」がたとえる語である「海」を典型例とする「深く、広いもの」というカテゴリーに包含されることを述べています。ここで、特徴(深く、広い)が顕在化して主題の意味が変化しています。 

 

■提喩 


「白いもの(が降る)」で「雪」を指したり、「パン」で「食物」カテゴリーを指したりすることもあります。これを提喩といいます。これはカテゴリーの階層関係に基づく慣用的比喩というものですが、この場合は主題の意味は変化しません。   

 

 

【科学の分野におけるメタファ】 


メタファそのものに関する研究も科学の分野では行われています。 

 

■ルート・メタファ説 


アメリカの哲学者であるペパーにより提唱されたルート・メタファ説というものがあります。これは、メタファ論の観点から哲学や科学の分野の理論の構造や特徴を取り扱う方法です。哲学の諸理論などを吟味して見ていくと、基本的で起源的であるルート・メタファという概念にたどりつくという考え方です。 

それらは「世界仮説」を構成するものであり、以下の4つが代表的なものとなっています。 

  1. 機械論―世界を機械として捉える 
  2. 有機体説―世界を有機体として捉える 
  3. フォーミズム―存在間の類似性と差異性を中心とする 
  4. 文脈主義―同時に働く諸条件によって生ずる事象の集まりとして世界をみる 

 

■イメージ・スキーマ 


メタファには、認知心理学におけるイメージ・スキーマが支える表現もあります。 

たとえば「喜び(悲しみ)に沸く(沈む)」は、身体経験や行為パターンを抽象化したイメージ・スキーマ(喜びは上、悲しみは下)であり、感情領域へ写像した表現であると考えることができます。また、このようなメタファをクライエントが述べるということが、メンタルへルス上のどのような意味を持つのかという観点から、臨床心理学においても研究されています。 

 

■科学のメタファ説 


メタファは科学という分野においても重要な要素となっています。科学のメタファ説というものがありますが、これは科学研究におけるメタファの働きに注目したものです。心理学では、人間の心など直接観察できない研究対象を扱うこともあり、メタファが多用されてきました。たとえば「心はコンピュータである」というメタファを用いて、人間の心をコンピュータに見立て、その仕組やメカニズムを明らかにしようとすることがあります。 

 

以上が心理学の観点から考えた「たとえ話」でした。日常の中で何気なく使う「たとえ話」ですがいかがだったでしょうか。  

心理カウンセリングとは?

カウンセリングにおいて、クライエントの述べた「たとえ話」から、クライエントの認知様式を理解したり、逆にカウンセラー側が「たとえ話」を持ち出すことで、一般の方には難しい心理学・精神医学に関する現象を分かり易く説明することができます。そういった意味では、メタファは心理的支援におけるコミュニケーションにおいても重要なのです。 

カウンセリングに関してはこころ検定2級と1級で学べますので、是非挑戦してみてください! 

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