心理

2020/4/21

心理学における「夢」とは

眠っている間に見る夢には、心理学的にどのような意味があるのでしょうか。

誰でも眠っている間に夢を見たことはあるかと思います。心理学において、夢は睡眠中に発生する心理的現象の総称であり、非論理的でまとまりのないイメージの連続でこうせいされることが多いです。

 

生理心理学の研究によって、通常約90分サイクルで夢を見るタイミングが発生していると考えられています。これは、睡眠には以下のような段階があることが関係しています。

 

Stage1. : θ波:ウトウトしている浅い睡眠の状態で出現

 

Stage2. :睡眠紡錘波:本格的な睡眠状態で出現

 

Stage3. : 深い睡眠の段階でδ波が出現(脳波全体に占める割合20以上~50%未満)

 

Stage4. :δ波の脳波全体に占める割合が50%以上になる。

 

Stage REM:急速眼球運動(REM)発生し、一時的に睡眠が浅くなる。

 

私たちの睡眠は基本的に、Stage1→2→3→4→3→2→1→Stage REM の順で1周期となっており、この1周期が約90分サイクルで繰り返されます。そして、Stage REMの段階で夢を見ていることが多いため、90分に1回のタイミングで夢を見ることになるわけです。

 

REMとは、急速眼球運動のことであり、眠っていて目を閉じているにもかかわらず、眼球が激しく動いている状態です。そして、Stage REMの段階では、脳の後頭葉の部分が活性化していることも判明しています。

 

後頭葉には視覚野とよばれる目で見た情報を処理する部分があります。つまり、眠っていて目を閉じていて、何も見ていないにもかかわらず、脳では“何かを見ている”のと同じ活動が行われているということになります。

 

夢を見ているというのは、実際に何かを見ているのと同じ脳の活動(情報処理)が成されているわけです。また、子どもは大人よりも多くの夢を見ていることが判明しています。これは、乳児の夜間睡眠の半分近くがREM睡眠で占められているからです。

 

心理学の分野において、最初に夢について検討したのはジグムント・フロイトであるとされています。フロイトが創始した精神分析における夢分析・夢解釈では、夢は睡眠という意識の統制が弱まった状態下で抑圧されていた無意識が浮上してきたものであると考えられています。

 

そのため、精神分析において、夢分析は自由連想法とともに「無意識を知るための王道である」とされています。そして、バラバラでまとまりのない夢も実際はある意味を担っており、解読されるべき心理的現象であると定義しました。

 

前者は夢の仕事(dream work)の結果であり、後者は夢の象徴性を示しているとされています。

 

夢の仕事とは、睡眠中の身体的刺激や覚醒中の体験、そして抑圧された無意識的内容などの夢の素材(潜在的夢思考)から夢(顕在的夢思考)を構成する心理的過程であり、圧縮・置き換え・視覚化、そして二次的加工という心理的操作が関与しているとされています。

 

このような操作は検閲による歪曲ですが、夢には「要素とその翻訳との間に恒常的な関係」、すなわち象徴化という歪曲があり、フロイトはいくつかの性的象徴との関連を指摘しています。

 

フロイトが顕在的夢思考を潜在的夢思考の産物として過去へと夢分析を進めたのに対して、フロイトから精神分析を学んだユングは、顕在的夢思考そのものの中に夢の思想(無意識の固有の性質)を求めて未来へと夢分析を進め、夢の持つ予見的働き(予知夢)についても検討しています。

 

夢が展望を語ってくれるという立場から、ユングは心理治療の開始時に報告される夢(初回夢)を重視していました。一方で、ビンスワンガーやボスらの現存在学派の精神分析家は、顕在的夢のもつ存在論的意味を追求しており、ゲシュタルト療法を創始したパールズも夢を統合への道筋と捉えて、いずれも夢のもつ実存的価値を強調しています。

 

夢の分析を重視する精神分析療法については、こころ検定2級(メンタルケア心理士)のテキストであるカウンセリング基本技法の第6章で概観していますので、興味・関心のある方は、是非、勉強してみていただければと思います。

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