心理

2018/12/27

心理統計学とは

心理カウンセラーになりたいと考えている大学生が必ず勉強しなければならないカリキュラムがいくつかあります。

 

心理カウンセリングは心理学の応用であるため、基礎心理学をしっかりと学ぶ必要があります。

 

また、心理カウンセラーの世界基準である「科学者-実践者モデル」では、心理カウンセラーは心理学者でなければならないと定められています。

 

従って、実験や調査が実施でき、収集したデータを分析して論理的な結論を導けなければなりません。

 

科学者としての視点、研究者としての視点は心理カウンセラーには必須であり、心理カウンセラーとして活躍するための重要な要素です。

 

これらの心理カウンセラーの必須能力の中でも、苦手と感じる方が多いのが心理統計学ではないでしょうか。

 

 心理カウンセリングが上手く行き、クライエントの抱える問題が改善・解決したとしましょう。

 

そこで「良くなったのだから、それでいい」ではなく「なぜ、良くなったのか?」について、しっかりと科学的な観点から捉えなければなりません。

 

そのため、心理カウンセラーは常に以下のようなことを考えながら、カウンセリング・アセスメントを進めていく必要があります。

 

①なぜ、このような結果になったのか?

 

②この結果から、どのようなことが考えられるのか?

 

③結果を基に、どのような対策を実施すべきか?

 

これはカウンセリングが上手くいっていても、上手くいなくても、どちらにしても考えなければなりません。

 

偶然に上手くいっただけであれば、それは「次も上手くいく保障はない」ということを意味します。

 

そして、上手くいっていないのであれば「どうすれば現状から変化させて、上手くいく方向に転換できるのか?」について、論理的に考察する必要があります。

 

カウンセリング・アセスメントにおける様々なデータは、適切に分析・処理することで、はじめて有益な情報となります。

 

クライエントがカウンセリング中に述べたことは全て“情報”です。

 

また、心理検査などの結果も全て“情報”です。しかし、これらは心理カウンセラーが分析・処理しなければ“ただの情報”でしかなく、問題の改善・解決のための「役に立つ情報」とはなりえません。

 

こういった情報を「科学的に」「正確に」「分かり易く」扱う際に重要となってくるのが、心理統計学的な分析・処理なのです。

 

統計的な分析をすることで、出来事や現状はより明確により分かり易くなります。たとえば、平均値というものについて考えてみましょう。

 

(例1) 3人のサラリーマンの平均年収

Aさん:300万円

Bさん:700万円  ﷐( 300万円+700万円+500万円 )÷3 = 500万円

Cさん:500万円

 

 このように平均値を求めることで、おおよその年収が見えてきます。

 

 そして、実際にCさんの年収は500万円なので、該当者が存在しているということになります。では、以下のような例ではどうでしょうか。

 

(例2) 3人のサラリーマンの平均年収

Aさん:100万円

Bさん:200万円  ﷐( 100万円+200万円+1200万円 )÷3 = 500万円

Cさん:1200万円

 

計算の結果は(例1)と(例2)は同じ500万円です。

 

しかし、(例2)の方では平均値である500万円の年収を得ている人は1人もいません。

 

これでは、あまり平均値を出す意味がありません。

 

そこで、平均値以外の指標を利用する場合があります。

 

たとえば、中央値とよばれる指標は、全データを大きさ順に並べ替えた時に、ちょうど真ん中にあたる数値のことを指します。

 

また、最頻値とよばれる指標は、全データの中で最も頻繁に存在する数値のことを指します。

 

ケースによっては、中央値や最頻値を算出する方が適切なデータ処理となることもあります。

 

また、平均値や中央値・最頻値を算出しただけでは、データの偏りやバラつきが分からないこともあります。

 

A・B・Cの3人の年収のデータのように、1人のデータ(Cの年収)が大きく偏っていると、それに引きずられて、全体平均が変化してしまいます。

 

しかし、これでは平均値や中央値、最頻値が全体像を反映しないものになってしまいます。そこで、標準偏差(SD)を算出することで、個別のデータが全体の中のどこに位置づけられているかを確認することができます。

 

これらはあくまで一例ですが、考え方として「数値を論理的に読み取り、理解する」というクセがついていることが、心理カウンセラーとしての活動に非常に重要となるのです。

 

苦手意識がある人も多いかと思いますが、心理統計学は「事実を見抜く」ということにおいて、とても大切なものなのです。

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