コラム

精神分析の学派

2022.6.16
  • 夢分析
  • ジグムント・フロイト

 精神分析は様々な派閥・学派があり、現在も発展を続けています。 

 

 

精神分析はジグムント・フロイトが創始してから、今日に至るまで様々に枝分かれしながら、発展をしています。今回は、そんな精神分析の理論や学派について解説していきたいと思います。 

 

対象関係論

 対象関係論とは、精神分析における代表的な理論の1つです。

対象関係論は自我と対象の関係のあり方の特徴を重視して人間の精神現象を理解しようとするものです。
つまり、対象を生物学的な本能充足の手段として理解するジグムント・フロイトの精神分析を基礎とした、それまでの立場に対して、自我は本来、対象希求的なものであるとし、自我と対象との関わりを一義的なものと考える立場が現れました。

 

これが対象関係論であり、乳児の対象との関係のあり方は発達とともに変化し、まだ自己と他者の区別のない自己愛的対象関係から、対象の一部を認識する段階(部分的対象関係)を経て、統合された全体的存在としての対象との関係をもつに至る全体的対象関係へと進むとしています。

 

そして、その段階に応じて対象との間に様々な不安を体験していくことになります。
また、外界に実在する人間、外的な対象に加えて、個体の精神内界に形成される内的対象との間で発展する対象関係、内的対象関係が重視されることが特徴です。

 

対象関係の発達の障害は、後に臨床的に神経症や精神病の精神病理として観察されるものです。
対象関係論はその後、クラインやガントリップ、ウィニコットらによって発展させられていきました。
 

 

移行対象

移行対象とは、イギリスの精神分析家であるウィニコットが、毛布・タオル・ぬいぐるみなど乳幼児が特別の愛着を寄せるようになるという、主に無生物の対象に対して当てた術語のことです。

 

 

ウィニコットによれば、こうした対象は主観的体験様式から客観的体験様式または母子未分化な状態から分化した状態への「移行」を促すとしています。

一般的に、生後1年目の後半から2年目にかけて発現する場合が多く、その主たる機能は母親との分離など、ストレスフルな状況で母親やその乳房の象徴的代理として、子の情緒を静穏化するところにあるとされています。 

 

夢分析

夢が何らかのメッセージを伝えているのではないかという考えは古代からあり、しばしば占いや呪術といった形で受け入れられていました。
ジグムント・フロイトは主体(夢主)の心理的世界をよく表している科学的な研究の対象として、夢の分析を活用しました。
 

 

夢は睡眠という意識の統制が弱まった状態下で抑圧されていた無意識が浮上してきたものであり、自由連想法とともに「夢判断は無意識を知る王道である」と精神分析では考えられています。

 

そして、バラバラでまとまりのない夢も実際はある意味を担っており、解読されるべき心理的現象であると考えました。

この前者の特徴は夢の仕事の結果であり、後者は夢の象徴性を示しているとされています。

 

夢の仕事とは、睡眠中の身体的刺激や覚醒中の体験、そして抑圧された無意識的内容などの夢の素材(潜在的夢思考)から夢(顕在的夢思考)を構成する心理的過程であり、圧縮・置き換え・視覚化・二次的加工という心理的操作が関与しているとされています。

 

このような操作は検閲による歪曲であるが、夢には「要素とその翻訳との間に恒常的な関係」、すなわち象徴化という歪曲があり、ジグムント・フロイトはいくつかの性的象徴であると指摘しています。 

 

精神分析については、こころ検定2級(メンタルケア心理士)のテキストであるカウンセリング基本技法の中で概観していますので、興味・関心のある方は、是非、勉強してみていただければと思います。 

 

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