心理

2018/12/7

知覚心理学とは

 知覚とは、人間や動物が感覚受容器を通して、外界の事象や事物および自己の状態を直接的・直感的に捉える働きやその過程のことを指します。
 
人間の場合は、基本的には目・耳・鼻・舌・皮膚のいわゆる五感によるものを知覚とよびます。
 
知覚と似た用語に認知がありますが、課題の複雑性から区別しています。
 
より単純な課題の場合は知覚や感覚という語を使用し、複雑な場合を認知という言葉を使います。
 
 知覚は外界の状況をただ模写するものではなく、刺激に対してただ忠実なものではないことが判明しています。

刺激により受容器(目や耳)が興奮し、神経細胞の電気的活動としてのインパルスに変換され、中枢神経系に伝達され、脳で複雑な電気活動が起きることではじめて知覚が生じます。
 
受容器の性能として、受容する刺激が決まっている適刺激という考え方があります。
 
たとえば、光刺激は目にとっての適刺激であるということができます。
 
一方で、目を閉じて瞼を強く押すと光が見えるというように、視覚が圧刺激によって引き起こされる場合もあり、これを不適刺激とよびます。
 
また、各受容器には刺激の範囲が限定されており、刺激が持続して与えられ続けると順応が起こり、それに応じて知覚も変化します。
 
人間の目で見える光刺激の幅は決まっていますし、動物でいえば、犬は白黒の映像として世界を見ています。これらは、目から入ってくる光刺激を知覚できる種類や幅には制限があることを示しています。
 
また、知覚は中枢神経系の活動にも大きく依存するため、感覚相互の関係にも基づいています。知覚はそれ自身独自の構造・体制を有しているため、様々な立場から研究が重ねられてきています。
 
科学的な心理学の幕開けに関して大きな貢献をした心理学者のヴントが実験心理学という領域をスタートさせた当初から、知覚に関する心理学的研究は盛んに実施されてきました。
 
知覚心理学の元祖ともいえるゲシュタルト心理学では、知覚の体制化という概念が提唱されています。知覚の体制化には、図と地の概念や、群化の法則、プレグナンツの傾向が提唱されています。また、錯視図形なども知覚心理学の研究テーマの1つです。
 
 ゲシュタルト心理学が提唱しているように、知覚は「まとまりを持ったモノ」という特徴があります。
 
一方で、人間の持つ価値や欲求、感情などの内的要因との関係から、力動的知覚・社会的知覚といわれる、ニュールック心理学というものが誕生しました。
 
ニュールック心理学は、経済状態によって貨幣の大きさを異なって知覚するなどのように、物理現象である物体の知覚が心理的要因の影響を受けることを示唆しています。
 
また、知覚の成立における学習の役割は、知覚学習として研究が行われています。
 
乳幼児の知覚、動物の知覚環境の制限等の研究が進められています。
 
さらに、知覚は記憶や思考など他の心理的機能とも関係している。これらの高次な精神機能は深く関連した1つのシステムとして捉えられており、多くは「認知」という語が用いられますが、認知心理学は知覚心理学よりも「情報処理」という観点を重視しており、注意の過程などが知覚と連動する形式されています。
 
 知覚心理学の分野では、様々な心理学者による研究が進められてきました。
 
ケーラーは知覚的現象と中枢神経的過程とを心理物理同型説で捉えるという理論を提唱しました。
 
また、ブルンスウィックは刺激と行動との関係をレンズ・モデルで解説しました。
 
さらに、近くの相互作用説では知覚する者と知覚する対象との相互作用を強調しています。
 
これに対して、学習心理学を中心とした行動主義の中では、知覚心理学の要素は当初、軽視されていました。
 
しかし、新行動主義へと発展する中で、知覚を刺激と反応との仲介変数として捉えたハルやスキナーなどは、知覚を学習における刺激の条件と考えました。
 
スティーブンスは精神物理学的測定法を積極的に取り入れて知覚を研究し、トールマンは目標と手段との関係の認知を重視するなど、知覚心理学は他の心理学領域に影響を与えつつ、連動して研究成果が蓄積されています。

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