心理

2019/5/13

パニック症とは

パニック症は心因性精神障害の代表的なものの1つであり、うつ病などとの併発も多いとされる精神疾患です。

一般的にパニックとは、恐怖や不安に駆られた人々のヒステリックな集合的逃走および混乱状況と定義されます。

 

また、行動に表出する前段階の、緊迫した心理的混乱状況を意味することもあります。

 

生命や財産が切迫した脅威にさらされた緊急事態で、脅威は統制不可能な上に脱出路が限られているという認知が成立している場合に急激に顕在化するとされています。

 

情報の曖昧さによる不安の高まりや煽動者の存在、他者追従傾向の高まり等が、パニックの発生を促進することが指摘されています。

 

ただし、この広義の意味での“パニック”とは、集団におけるものであり、パニック症における“パニック”とは少しニュアンスが異なります。パニック症における“パニック”とは、あくまで個人的な身体・精神に関する様々な症状の総称であり、また、それらの症状は他者に伝搬して広がったりすることはありません。

 

加えて、一般的なパニックは「生命や財産が切迫した脅威にさらされた緊急事態で、脅威は統制不可能な上に脱出路が限られているという認知が成立している場合に急激に顕在化する」と定義されていますが、パニック症における“パニック”は実際に何か恐ろしい出来事が起きていない状態でも「もしかしたら、恐ろしいことが起きるかもしれない」という予想・予期があるだけでも問題となる症状が出てしまいます。

 

では、より具体的に実際のパニック症とは、どのようなものなのでしょうか。

 

パニック症とは、突然起こってくる種々の身体症状に強烈な不安・恐怖の感情を伴う恐慌発作を繰り返し起こす精神疾患です。

 

身体症状としては、息切れや呼吸困難・動悸・胸部不快感・発汗・めまい・立ちくらみ・吐き気・震え・寒気など多彩なものが含まれますが、呼吸器系・心血管系の症状が前面に現れることが多く、クライエントは心臓発作や脳卒中が起こったのではないかと思いこんでしまったり、死んでしまうのではないかと思い込むことが多くあります。

 

これらのパニック発作を何度か経験することで、クライエントにはまた同じようなことが起こるのではないかという予期不安を絶えず起きるようになってしまいます。

 

さらには、自宅から遠く離れた場所や人込み、電車などの乗物の中などのような、もし、発作が起こった時に逃れられないか助けが得られないような場所に行くことを回避するという空間恐怖を伴うようになるケースも多く見受けられます。

 

パニック症は心因性精神障害に分類されるものであり、ストレスなどが原因で発症するが、脳や神経伝達物質の異常はあまり認められないという特徴があります。

 

従って、強迫症や心的外傷後ストレス障害(PTSD)などと同じ区分になります。

 

パニック発作は以前には「恐慌発作」とよばれており、パニック症(パニック障害)も、かつては「恐慌性障害」とよばれていました。

 

最初にパニック症について考察したのは精神分析の創始者であるフロイトでした。

 

フロイトは不安神経症の部分症状として恐慌発作・恐慌性障害を定義していました。

 

その後、精神疾患の診断・統計マニュアルであるDSMの第3班において、パニック症(パニック障害)は独立した精神疾患として注目されるようになりました。

 

これは、1980年代になってからのことであり、比較的最近の出来事であるといえるでしょう。

 

パニック症において最も特徴的な症状である予期不安はクライエントの抱える認知様式の問題(スキーマ・自動思考)であることが多いということが判明しています。

 

そのため、認知行動療法(エクスポージャー)が治療・支援に非常に効果的であることが分かっています。

 

また、パニック症は広場恐怖症やうつ病との併発も多いということも判明しており、併発する症状の治療・支援という観点からも、認知行動療法が奏功することが多いのです。

 

加えて、強いネガティブな感情や各種身体症状については、薬物療法も効果的であることが判明しています。

ページ一覧に戻る