カウンセリングには、直接クライエントとは対面せずに実施するオンライン・カウンセリングというものがあります。
インターネットやスマートフォンなどのITの普及は心理学やカウンセリングにも大きな影響を及ぼしています。
オンライン・カウンセリングも、そういった影響下において発展してきたものです。
基本的に、オンライン・カウンセリングでは、クライエントとカウンセラーは直接対面することなく、治療・支援を進めていくことになります。
いわゆる“非対面”という手法は様々であり、メール・SNS・skypeなどが代表的です。
また厳密には“オンライン”ではないものの、非対面という意味では、電話によるカウンセリングもオンライン・カウンセリングに近いものとなっています。
オンライン・カウンセリングの歴史は、通信手段の発展の歴史とも重なります。
電話が発明され、FAXが発明され、インターネットの普及に伴い、メール、テレビ電話、チャット、SNSというように新たなツールの誕生によって、新たなカウンセリング手法も確立されていきました。
ただし、現状はあくまで「対面によるカウンセリング」が重視されています。そのため、オンライン・カウンセリングには以下のような定義がされています。
- 心理カウンセリングにおいて、最も正式・基本的な手法は「対面によるカウンセリング」である。
- オンライン・カウンセリングは、対面での実施が困難な場合における1つの選択肢であり、次善策という位置づけとなる。
- 対面によるカウンセリングが受診可能となった場合、オンライン・カウンセリングから対面に切り替えることを、カウンセラー側はクライエントに強く推奨するべきである。
- もしオンラインでの対応ができない状況が発生した場合を予め考慮し、その場合の代わりの対応方法を事前にカウンセラーとクライエントで共有しておくべきである。
- 通常のカウンセリングに関する知識・技能を身に着けているだけでは不十分であり、オンライン・カウンセリングに関する知識・技能を別に身に着けておく必要がある。
これらの定義はあくまで「基本中の基本」の考え方であり、これまでの研究・実践の成果に基づいたものとなっています。
そして、通常のカウンセリングとオンライン・カウンセリングの最大の相違点は「対面か?非対面か?」という部分です。
そしての、この対面・非対面という部分は、カウンセラーの基本的態度の1つである受容の態度に大きく影響するものとなっています。
受容とは「なるほど」や「そうですか」という言葉であったり、動作として頷くことなどを指します。
これらの態度を示すことで、クライエントは「自分はこの場において受け入れられている」「しっかりと自分の話を聴いてもらえている」という感覚を引き起こします。
受容の態度は、それだけでラポール(信頼感)の形成において非常に重要であると同時に、他者(カウンセラー)から受け入れられているという感覚はストレス低減効果も持ち合わせています。
つまり、受容の態度は、カウンセリングにおける回復の技法であると同時に、カウンセリングを円滑に進めるための技法でもあるわけです。
しかし、オンライン・カウンセリングでは、この受容の態度をテキストで示すことしかできません。
非対面では、顔を合わせることができず、メールやチャットの場合は、音声によるコミュニケーションがとれません。
頷いたり、表情で示したり、声のトーンを変えたりするという方法が使えないわけです。
そこで、受容の態度をしっかりと示すためには、テキスト(文章)として、明確に記述する必要があります。
このように、オンライン・カウンセリングでは、通常の対面によるカウンセリングとは、異なる技術が必要なのです。
オンライン・カウンセリングの一種であるメールカウンセリングについては、こころ検定2級(メンタルケア心理士)の試験合格後に受講できる「メールカウンセリング実技実践プログラム講座」で勉強することができます。
まずは、こころ検定2級(メンタルケア心理士)の講座で対面での基本的な心理カウンセリングについて勉強し、その後、興味・関心のある方は、メールカウンセリングについて勉強していただければと思います。