コラム

6月生まれの心理学の専門家 Part5

2021.6.24
  • 家族療法
  • 精神分析

 

心理学・カウンセリング・メンタルケアの専門家には、6月生まれの著名な先生方がいます。ヴァージニア・サティアは1916年6月26日 生まれのアメリカの心理学者・心理療法家・ソーシャルワーカーです。サティアは1948年にシカゴ大学でソーシャルワークの修士号 を取得しています。その後、サティアは家族心理学の研究から、家族療法の創始者の1人となりました。

 

 

 

家族療法はその出発点において、主に精神分析的な家族力動理論を根拠にしていましたが、やがて一般システム理論や、対人関係論、学習理論、行動理論など様々な理論を取り込み、現在では多種多様な理論的枠組をもった治療的アプローチがあります。

 

より具体的には、アッカーマンによる精神力動的家族療法、パターソンによる行動論的家族療法、ウィタカーらによる体験的家族療法、ボーエンらによる拡大家族システム療法、ミニューチンによる構造的家族療法などがあります。ただし、実際にはこれらの様々なアプローチは相互排除的なものではなく、共通する部分も多いため、時に統合された形で用いられることもあります。

 

上記のように家族療法には様々な派生アプローチがありますが、共通する特徴として挙げられるのは、家族をシステムとして捉えるという点です。システムに関する理論である一般システム理論は、ベルタランフィが初めて提唱した概念で、研究の対象となる存在をその存在とそれをとりまく環境との関係を考慮に入れて理解しようとするものです。

 

この理論では、システムを「互いに影響し合う要素の複合体」として捉えています。そして、ベルタランフィはシステムには2種類あるとしており、周囲の環境との相互作用をもつ「開いたシステム」と相互作用を持たない「閉じたシステム」を明確に区別しています。

 

そして、家族療法では、家族を「開いたシステム」として考え、システム論の基礎概念を多く取り入れているのです。システムの考え方で家族を捉える家族システム理論では、家族を各部分の特性の総和以上の特性をもつ1つのシステムとして捉えます。

 

このシステムは、あるルールによって支配されており、全てのシステムは境界を持っているとしています。その境界は半透性であり、通過できるものとできないものがあるとしています。また、家族システムは完全にではないものの、比較的安定した状態に立ちいたる傾向があり、そして変化や成長が起こるものであるとされています。

 

また、家族システムはサブシステムによって成り立っており、家族の中の個人の行動のような事柄は、直線的な因果関係よりも円環的因果関係の例であると見なした方がより理解しやすいと考えられています。たとえば,息子の不登校は過保護な母親のせいであるというように単純に解釈するのではなく、その背後には夫に頼りたくても頼れないという夫婦間の問題が潜んでいる可能性があります。

 

これは息子の不登校という問題に対して「頼られる」という機能を持つ夫が「家族というシステム」の中で上手く機能していないということ、そのため母親が夫の持つ機能を肩代わりすることで、親子関係内に「過保護」という状況が発生していると考えられるわけです。このように、家族療法では、心理カウンセラーはこれらの内のある1つが問題というようには捉えず、全体としての家族にあると考えて対応していきます。

 

サティアは、それまで子どもが心理社会的な問題を起こした際、子どものみにアプローチをすれば良いとかんがえられていたものを、大きく転換させました。サティアは子どもが何らかの問題を起こした場合、それは家族との関係性、特に家族間のコミュニケーションに問題があると考えました。

 

そこで、サティアは子どもだけを対象にカウンセリングをするのではなく、家族全体に対するカウンセリングをする家族療法を創始したわけです。その後、サティアが確立した家族療法は、発展・拡大していき、現在、広く心理臨床の現場で活用されています。

【参考リンク】

TERADA医療福祉カレッジ つぶやきコラム「家族療法とは」

こころのサイエンス 「カウンセリングの中心はクライエント」(外部リンク)

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この記事を執筆・編集したのはTERADA医療福祉カレッジ編集部

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