コラム

1月生まれの心理学・カウンセリング・メンタルへルスの専門家 Part3

2020.1.21
  • デイヴィッド・ウェクスラー
  • 学習心理学

心理学・カウンセリング・メンタルケアの専門家には、1月生まれの著名な先生方がいます。
デイヴィッド・ウェクスラーは、ウェクスラー式知能検査を開発したことで有名です。

 

 

▶デイヴィッド・ウェクスラー

デイヴィッド・ウェクスラーは1896年1月12日 生まれのルーマニア生まれの心理学者です。

 

ウェクスラーはルーマニアで幼少期を過ごした後、家族とともにアメリカに移住しました。

その後、ニューヨーク市立大学を卒業し、コロンビア大学に進学、ソーンダイクやジェームズ・キャッテルらに師事し、1917年に修士号を、1925年に博士号を取得しています。

 

 

ウェクスラーの師匠に当たる人物はいずれも著名な心理学者です。

 

ソーンダイクは動物の知能や学習に関する様々な研究を実施する過程で、試行錯誤学習や練習の法則、効果の法則について提唱し、後の教育心理学学習心理学の発展に多大な貢献をしています。

 

また、キャッテルはヴントのもとで研究助手を務めた後、ゴールトンに師事し、個人差の研究や心理検査に関心を持ちました。そして、このキャッテルの弟子がソーンダイクであり、彼らはコロンビア大学で共同研究を実施しています。

 

つまり、ウェクスラーの師匠がソーンダイクであり、その師がキャッテル、そして、さらにその師がヴントということになるので、ウェクスラーはヴントから始まる科学的な心理学の系譜をしっかりと受け継いでいるのです。

 

この過程で、ウェクスラーは生物学・哲学・心理学・生理学などの幅広い学問を学んでいます。

 

第一次世界大戦中はアメリカ陸軍と共同で被徴兵者を選抜するための心理検査の開発に従事しました。
これが、後の知能検査・発達検査の開発に繋がっていきます。

そして、戦後はロンドン大学で、心理統計学の基礎を築いたスピアマンとピアソンのもとで研究生活を送りました。

 

1932年から1967年まで、ウェクスラーはベルヴュー精神病院に主任心理学者として勤務し、その傍ら、1933年からニューヨーク大学附属病院にも勤務しています。

 

この勤務先の1つであるベルヴュー精神病院にて、ウェクスラーは最初の知能検査であるウェクスラー = ベルヴュー知能検査を開発しています。
ここから発展する形で、ウェクスラー式知能検である、WPPSI・WISC・WAISが開発されました。

 

これらの知能検査は世界中で活用されており、日本でも大学院の臨床コースでは必須の知識・技術として学びますし、医療機関で実施する場合は医療保険の対象となっています。

 

ウェクスラー式知能検査は知能を言語性IQ動作性IQ 2つの種類に分けて考えるというシステムを採用しています。

 

言語性検査とは、文字や言語を使用し言語的な応答を求めるもので、知識・類似・算数・単語・理解・数唱などの分類があります。
言語性検査は動作性検査に比べて、検査を受ける人の教育状況や文化圏の影響を受けやすいとされています。

 

一方で、動作性検査は文字や言語を用いる代わりに、積木・図版・記号などを用いて、簡単な手の操作で解答させるというものです。

 

より具体的には、積木模様(ブロック・デザイン・テスト)・組合せ・絵画配列・迷路・絵画完成・符号などがあります。
動作性検査は、言語性検査と比較して、検査を受ける人の背景としての文化や社会などの影響が少なく、言語障害などを持つ子どもにも実施できるという特徴があります。

 

ウェクスラー式知能検査は、幼児から高齢者までと適用範囲が広く、知能指数(IQ)を言語性IQ、動作性IQ、全体IQの3種類を求めることができます。

 

また、年齢層によって検査の詳細内容を変更しており、成人用の知能検査(WAIS)、児童用(WISC)や幼児用(WPPSI)というラインナップになっています。

 

ウェクスラー式知能検査をはじめとする知能検査や発達検査については、こころ検定1級(メンタルケア心理専門士)のテキストである精神医科学緒論の第6章で概観していますので、ご興味・ご関心のある方は、是非、勉強してみていただければと思います。

 

著者・編集者プロフィール

この記事を執筆・編集したのはTERADA医療福祉カレッジ編集部

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