心理

2018/7/2

内観療法とは?

心理カウンセリング・心理療法は基本的に海外で創始・開発され、日本はそれを「輸入」するということが多いです。

 

 

ただし、少数ではありますが、日本で創始・開発された心理療法があり、代表的なものの1つとして、内観療法があります。

 

【内観療法とは】


内観療法は吉本伊信によって開発された修養法の一種ですが、心理療法としての効果も認められており、国際的にも評価されつつあります。
内観療法は浄土真宗の一派に伝わる求道法の「身調べ」という修養法を吉本が自己の体験に基づいて改良したものです。
あくまで心理療法であることを重視しているため、元々ある宗教色を排除し、30年にわたる試行錯誤の末に、高い有効性を求めて確立されました。そういった意味では、内観療法はマインドフルネス療法とも類似点があります。

心理学には伝統的に「内観」という概念があります。
心理学における内観とは、自分自身の意識経験の過程を心理学の直接のデータと見なして観察することを指し、内省ともよばれます。
目に見えたり、数値化することはできず、客観的に捉えることもできない内観ですが「自分の心の動きを正確に把握できるのは自分自身」という考えは古くから存在しています。

 

■ヴントが考えた「内観」


たとえば、ヴントは心理学を哲学から明確に分ける唯一の科学的方法が内観であると考えていました。
また、心理学と他の自然科学とは、前者がある対象に面した時の人間の意識経験を直接取り扱うのに対して、後者は、その結果としての対象の側の持つある特定の構造や法則の発見に努めるという点で決定的に異なると定義されていました。
ヴントが活躍していた時代は、内観こそが心理学研究の「中心」であるとされており、その他の自然科学のような間接経験は心理学の対象としないという考えもありました。

 

 

内観における直接経験は、意識の流れを司るものであり、その観察のためには、意識の流れに沿って内観データをとる必要があります。
これが内部知覚や純粋感覚、簡単感情の報告となるわけです。
しかし、多くの場合、一定の課題を遂行した後で、それまでの経験の意識の報告となるため、想起に基づく追観(retrospection)となってしまい、厳密には「自分の心の動きを正確に自分自身で把握する」ということは非常に困難なことでもあります。

 

■内観療法のルール


内観療法で扱う内観は、一定のルールに沿って実施することで、捉えにくい「自分の心の動き」を正確に把握することを実現しています。
内観療法の一種である集中内観は、外部からの刺激を遮断した薄暗い狭い静かな屏風に囲まれた空間で、朝6時から夜9時まで約1週間継続的に実施します(集中内観以外にも、日常内観という手法があり、これは集中内観の経験者が1日・1~2時間内観することで、内観効果の持続を目指すものです)。
具体的には、自分の身近父・母・夫・妻・子ども・先生・友人に対する自分の内観を
(1)していただいたこと
(2)して返したこと
(3)迷惑をかけたこと
上記3つの事実を過去から現在まで3~5年刻みで回想します。

 

それを1~2時間ごとに訪れる面接者(心理カウンセラー)に数分にまとめて報告します。
面接者(心理カウンセラー)は、礼節を尊びながら、クライエントの述べる内容を受容的に傾聴し、3問に沿うように指導し、次のテーマを与えます。
実践的な研究の結果、内観療法はアルコール依存・薬物依存症・神経症・心身症・不登校・摂食障害など広範な問題に効果的であることが判明しており、近年では統合失調症の一部のクライエントにも適用が試みられています。

内観療法の奏効機序は、クライエントが主観的に「反省⇒懺悔⇒感謝⇒報恩」という内的変化にあります。
また、脳の機能としては、長期記憶の感情を伴った解放による認知の改善も関係しています。
内観における3問による過去の人生の深い内省により、従来の罪深く自己中心性の高い自分が他者の愛で生かされてきたという安心感を得ることで、自己中心性からの脱却を促し、肯定的な自他認知へと7日間で変化が起きるわけです。

 

内観療法は他の心理療法に比べ、治療構造の堅固さと、礼節を重んじ距離を置いた治療関係に特徴があり、自力で自己洞察を深化させていくものです。
1977年に日本内観学会が医療・心理学・矯正・教育・宗教・企業関係者により結成され、毎年学会大会を開催しています。
1991年に第1回国際内観会議が東京で、第2回は1994年にウィーンで、第3回は1997年にイタリアで開催され、その治療効果の高さは民族・宗教・文化を超えて、普遍的に認められています。日本内観学会は2018年度は5月に年次大会が開催予定となっており、研究発表などが行われる予定となっています。
 

著者・編集者プロフィール

この記事を執筆・編集したのはTERADA医療福祉カレッジ編集部

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