心理

2020/9/17

グループ・ダイナミックスとは

心理学では、集団の心理に関する理論として、グループ・ダイナミックスというものがあります。

心理学の理論にグループ・ダイナミックスというものがあります。これは、集団の基本的な性質や集団と個人、集団と集団、さらにはもっと大きな組織と集団との関係についての法則を実証的な方法によって明らかにしようとするものです。

 

グループ・ダインミックスは心理学の中では社会心理学、そしてそれを超えて社会科学全体における一分野という大きな存在感を示しています。

 

1930年代後半にアメリカで心理学者のクルト・レヴィンによって創始されました。グループ・ダイナミックスという言葉が最初に使われたのも1939年のレヴィンらによる「社会的風土に関する研究」の中で言及された時であるとされています。

 

1945年にはマサチューセッツ工科大学にグループ・ダイナミックス研究所が設立され、日本には1949 年には日本グループ・ダイナミックス学会が設立されています。

 

グループ・ダイナミックスの特徴には以下のようなものがあります。

 

(1) 理論的意味のある実証的研究の重視

 

(2) 研究の対象として集団の力動性・成員間の相互依存性への強い関心

 

(3) 社会科学全般への広範な関連性

 

(4) 研究成果の社会実践への応用可能性の重視(アクション・リサーチの強調)

 

この中でも特に重要視されているのが、アクション・リサーチです。アクション・リサーチとは、社会環境や対人関係の変革・改善など、社会問題の実践的解決のために厳密に統制された実験研究と現実のフィールドで行われる実地研究とを連結し、相互循環的に推進する社会工学的な研究方法の総称です。

 

理論と実践の相互フィードバックを中心概念として、グループ・ダイナミックスの創始者であるクルト・レヴィンによって提唱されました。具体的には、以下のような内容です。

 

(1) 計画段階:変革の対象となる事態の正確な観察と分析を行い、改善目標を設定するとともに、過去の研究知見を参考にして目標達成のための方策を検討し仮説をたてる。

 

(2) 実践段階:仮説に従って具体的な活動を実践し、必要なら前もって訓練・教育を行う。

 

(3) 評価段階:活動の有効性と仮説の妥当性を検証するために、目標達成度を客観的科学的測定に基づいて行い、活動内容や方策に改善すべき点の有無を検討する。

 

(4) 修正段階:改善すべき点があれば修正を行って再度同様の過程を繰り返すが、この際、実験研究の知見の有効性を実地研究で確認し、実地研究で示された知見の理論的妥当性を実験研究で検証するという具合に実験室と現場をリンクさせながら進める。

 

(5) 適用段階:目標が達成されたら、その成果を異なる社会事象にも適用してみて、その方策の効用と限界を見きわめるという手続をとる。

 

アクション・リサーチは、組織の対人関係改善に有効な方法として活用されたり、食習慣の改善や企業における目標管理など産業場面を中心に広い分野で活用されています。

 

グループ・ダイナミックスは、小集団を対象に精密な実験的手法を取り入れて理論的研究の道を開きましたが、実験状況が精密になるほど現実の集団状況から遊離しやすくなるという問題がありました。

 

アクション・リサーチは、現代の工学理論から見れば少なからず欠陥を抱えてはいるものの、実験のための実験に終始することなく、現場に向き合い、そこから豊かな知見を取り入れることで優れた理論的研究を可能にしています。

 

このようなアクション・リサーチを重視するグループ・ダイナミックスの具体的な研究領域として、集団凝集性・集団規範・集団意思決定とその効果、集団構造、集団目標と集団業績、リーダーシップなどがあります。グループ・ダイナミックスの研究は基本的に実験を中心としますが、研究目的に合わせて① 現場研究 ② 自然実験 ③ 現場実験 ④実験室実験などがあります。

 

グループ・ダイナミックスは、当初はレヴィンが提唱した場理論を中心として展開されましたが、その後は認知説やシステム理論などの要素も取り入れられています。

 

グループ・ダイナミックスなどの集団心理については、こころ検定1級(メンタルケア心理専門士)のテキストである精神予防政策学の第1章で概観していますので、興味・関心のある方は、是非、勉強してみていただければと思います。

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