心理

2019/5/13

うつ病とは

うつ病は「最も有名な」精神疾患の1つだと思われますが、実際にはどのような疾患なのでしょうか。

精神疾患の世界的な診断基準・治療のマニュアルであるDSM-5では、うつ病は抑うつ性障害群に分類される精神疾患です。

 

精神疾患は大別すると、外因・内因・心因があり、うつ病は主に内因性精神障害に分類されています。

 

内因性とは、脳の機能上の異常や機能低下が原因となるものであり、脳内の神経伝達物質の分泌異常(過剰・過少)や、脳内の血流量の異常(増加・減少)、自律神経活動の異常(過剰活発・過剰抑制)などを主な原因とするものであると考えられています。

 

うつ病は抑うつエピソードとよばれる精神状態が持続していることが診断の基準となっています。

 

抑うつエピソードとは、以下のような状態を指します。

 

(1)ほぼ1日中、ほぼ毎日抑うつ状態。

 

(2)ほぼ1日中、ほぼ毎日、ほぼ全ての身体的・精神的な活動への興味が減退し、ポジティブな感情(楽・喜・快)が起こらない。

 

(3)食事に関して医学的理由や健康維持などの制限がないにもかかわらず、大幅な体重の減少または体重の増加、または、ほぼ毎日、食欲が減退または増加している。

 

(4)ほぼ毎日の不眠または過眠の状態である。

 

(5)客観的に観察可能な精神運動焦燥または制止がほぼ毎日ある。

 

(6)ほぼ毎日、疲労感もしくは気力の減退がある。

 

(7)無価値感、過剰または不適切な罪責感をほぼ毎日感じている(妄想的な場合もある)。

 

(8)ほぼ毎日、思考力、集中力の減退や意思決定が困難な状態である。

 

(9)死について繰り返し考える。自殺に関する計画の立案することがある。

 

また、大前提として、上記のような状態・症状により、当事者(クライエント)が苦痛を感じたり、日常生活・社会的活動(学業・職業など)に支障をきたしていること、各種症状は薬物などの外的要因によって引き起こされているものではないことが挙げられます。

 

このように、うつ病の診断基準は抑うつエピソードを示すことと、各種症状の発症原因が他の身体疾患・精神疾患では説明できないということが基準となります。

 

また、抑うつエピソードの間欠期間と回数によって単一エピソードと反復エピソードという分類があります。

 

単一エピソードとは、抑うつエピソードが1回あり、その後、抑うつエピソードの基準を満たさない期間が2ヶ月以上あり、そのまま抑うつエピソードの2回目がない状態のことを指します。

 

反復エピソードとは、抑うつエピソードが1回あり、その後、抑うつエピソードの基準を満たさない期間が2ヶ月以上あり、さらにその後、抑うつエピソードの2回目、3回目が起きる状態のことを指します。

 

つまり、抑うつエピソードがあり、その後、2ヶ月の間欠期間がある場合に、次にまた抑うつエピソードが起きた場合は、それぞれ別々のエピソードであると規定するということです。

 

うつ病の治療・支援の方法として有効であるとされるのが、薬物療法と認知行動療法です。

 

薬物療法は、脳・神経(神経伝達物質)に関する異常を改善するためのアプローチです。

 

これは、うつ病において顕著な感情である抑うつ、もしくは楽しい・嬉しい・面白いというポジティブな感情を感じることができなくなっている状態と関連の深い神経伝達物質の分泌量をコントロールすることで、症状の改善を促す手法です。

 

しかし、近年の研究成果の蓄積により、うつ病は感情・気分よりも、その1つ前の心理的過程である認知の異常の方がより重要なのではないかと考えられるようになりました。

 

DSMでも第4版改訂版までは「気分障害」という項目の中にうつ病をカテゴライズしていましたが、最新版のDSM-5では「気分障害」という分類はなくなり、より認知的過程がクローズアップされています。

 

なぜ、落ち込んでしまうのか、なぜ楽しくないのか、嬉しくないのか、ということを考えると、それは出来事や体験・経験をポジティブなものである(ネガティブなものではない)と判断・評価することが困難になってしまっているからです。

 

判断や評価は認知機能なので、この部分にアプローチし、問題となる認知を修正・変容させることを目的とした認知行動療法が、うつ病に対して効果的な手法なのです。

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