心理

2020/1/30

境界性パーソナリティ障害とは

心理カウンセリングや精神医学的な治療・支援において、非常に難しいケースが多いのが境界性パーソナリティ障害です。

境界性パーソナリティ障害は、治療・支援が非常に難しいパーソナリティ障害です。具体的な診断基準は以下のようなものになります。

 

対人関係や「自分とは、どんな人間なのか?」という感覚、感情などが非常に不安定であり、衝動的な行動が目立つ。

 

こういった状態が成人期早期くらいにスタートし、日常生活の様々な場面で問題が発生しやすくなります。

 

具体的には、以下の症状のうち、5つ以上が当てはまる場合に診断されます。

(1)非常に強い見捨てられ不安と、それに基づく行動

(2)理想化とこき下ろしとの両極端を揺れ動く不安定で激しい対人関係

(3)著しいアイデンティティ(同一性)の混乱状態

(4)自分自身を傷つける可能性のある衝動的な問題行動。

例:極端な浪費、性行為、物質乱用、無謀な運転、過食など

(5)自殺の行動、そぶり、脅し、または自傷行為の繰り返し

(6)極端な感情の不安定さ(2~3時間のみ持続し、それ以上は持続しないことが多い)

(7)慢性的な空虚感

(8)不適切なまでに激しい怒りおよび怒りのコントロールの困難さ

例:かんしゃくを起こす、いつも怒っている、取っ組み合いの喧嘩を繰り返すなど

(9)一時的な高いストレス状態によって、妄想などが発生する

 

境界性パーソナリティ障害において、広く様々な問題として現れるのは、対人関係のトラブルです。ただし、本人は自分のパーソナリティ上の問題によってトラブルが起きているという認識が無い場合が多いです。

 

常に見捨てられ不安に苛まれているため、誰に対しても「自分を見捨てるのではないか?」という疑念に駆られています。そのため、他者の注意を引くためなら、どんなことでもしてしまうのです。

 

これは、当事者と他者の間の対人関係を破綻させてしまうだけでなく、家族や学校のクラス、部活、会社の部門などのような所属する集団内の関係性をメチャクチャにしてしまうこともあります。

 

特定の人物に対して、とても良いイメージで理老化し、素晴らしい人だ、尊敬できる、大好きだ、というようなことを本人にも伝えつつ、周囲の他者にもそれを話したり、態度で示します。しかし、不安定な感情やアイデンティティの問題も相まって、一転して、激しいこき下ろしを行います。理想化されたかと思ったら、激しく責められ、悪者扱いされてしまった人からすると、いったい、何が起こっているのか、自分が何か悪いことでもしたのかと非常に混乱してしまいます。

 

さらに、周囲の人も境界性パーソナリティ障害のクライエントの口から、様々な誹謗中傷を聞かされることになります。そのため「えっ、あの人って、そんな人なの?」とか「酷いことをする人なんだね」などのように感じてしまします。こういったことが繰り返される中で、対人関係上の様々なトラブルが精神疾患によるものであるとはクライエント自身も思っていないし、周囲の他者も思っていないという状況が起きてしまいます。

 

その結果、クライエントは「嘘つき」や「面倒な人」というレッテルを貼られてしまうことになりやすいのです。その上、自分自身を傷つけるような衝動的な問題行動や、自殺のそぶり、自傷行為の繰り返しなどがあるため、どんどん孤立し、「関わらない方がいい人」という位置づけになってしまうのです。

 

クライエントとカウンセラーも対人関係を築く必要性があるのですが、境界性パーソナリティ障害の方の場合は、この関係性も上手く築くことができず、維持することができません。

 

カウンセラーに対する見捨てられ不安から、激しい理想化とこき下ろしをしてしまうため、カウンセリングにも来なくなってしまい、連絡もつかなくなる、というケースも多く、治療・支援が不十分なままになってしまうのです。

 

しかし、最近では効果的な治療・支援の方法も確立されつつあり、特に弁証法的行動療法は、境界性パーソナリティ障害の治療・支援に特化した心理療法として注目を集めています。

 

境界性パーソナリティ障害については、こころ検定2級(メンタルケア心理士)のテキストである精神医科学基礎の第4章で概観していますので、ご興味・ご関心がある方は、是非、勉強してみていただければと思います。

ページ一覧に戻る