コラム

不眠の日と心理学の関係

2025.5.22 心理
  • 睡眠障害
  • 生理心理学
  • こころ検定4級

不眠の日と心理学には、どのような関係があるのでしょうか

 

【目次】

  1. 1.5月23日および毎月23日は「不眠の日」
  2. 2.生理心理学研究における睡眠について
  3. 3.まとめ

 

1.5月23日および毎月23日は「不眠の日」

日本では365日の全てに何らかの記念日が制定されています。5月23日および毎月23日は「不眠の日」に制定されています。これは、睡眠改善薬である「ドリエル」などの医薬品・医薬部外品・化粧品・食品の製造・販売を行うエスエス製薬株式会社が制定したものです。日付の由来は「ふ(2)み(3)ん」の読む語呂合わせからのものとなっています。統計的なデータから、日本人の約53%が何らかの不眠症状を持っているとされているものの、多くの人が対処方法や改善手段の正しい知識を有していないことから、記念日を通して不眠の改善について適切な情報発信を実施することを目的としています。

 

なお、医薬品には医師の処方が必要な医療用医薬品と薬局・ドラッグストアなどで購入できるOTC医薬品(一般用医薬品)の2種類があり、睡眠薬・睡眠導入剤は医療用医薬品、睡眠改善薬であるドリエルはOTC医薬品に分類されています。不眠を主訴として精神科や心療内科などを受診した場合、医療用医薬品を処方されることが多いです。一方で、精神科や心療内科などの医療機関を受診するほどではないと判断した方や、医療機関の受診にはハードルの高さを感じる方はでは、OTC医薬品(一般用医薬品)をドラッグストアで購入・服用している人も多いのではないでしょうか。

 

では、不眠と心理学には、どのような関係があるのでしょうか。

 

2.生理心理学研究における睡眠について

睡眠は心身の健康を維持するために非常に重要なものです。睡眠については、心理学の中でも特に生理心理学の分野で様々な研究が実施されています。生理心理学の研究の結果として、睡眠中は脳の活動が一時的に抑制されるため、体も心も休息している状態になることが判明しています。また、自律神経の活動も副交感神経が優位となり、リラックスすることができます。そのため、精神疾患等によって、睡眠に障害が発生することがあります。一般的に眠れない状態である不眠が精神疾患と関連すると思われがちですが、逆に眠り過ぎてしまうという過眠も、バランスの良い睡眠とはいえないため、問題のある症状であると考えることができます。さらに、不眠の場合は「寝られなさ」に関する細かい分類があります。たとえば、不眠には寝つけない、途中で目が覚めてしまう(中途覚醒)、何の理由もないのに早朝に目が覚めてしまう(早朝覚醒)という3つの種類があります。

 

また、夜に眠れなかったことによって発生する可能性の高い、日中の強烈な眠気なども付随する症状の1種となります。精神疾患の診断マニュアルであるDSM-5にも、うつ病(DSM-5)の診断基準として「不眠または過眠」という項目があります。睡眠のバランスが崩れているという状態が診断基準となるのは、うつ病(DSM-5)だけではなく、持続性抑うつ障害や双極Ⅰ型障害、双極Ⅱ型障害、気分循環性障害などです。ただし、これらの精神疾患は睡眠のバランスは診断基準の1部であり、感情(気分)などの問題がメインの症状となります。一方で、睡眠のバランスそのものが診断基準のメインとなる精神疾患もあります。不眠障害や過眠障害などの睡眠-覚醒障害群に分類される精神疾患は、睡眠そのものの問題が主となるものです。これらの睡眠のバランスの問題を含む精神疾患は、心理カウンセリング等の治療を受けることで、改善していくことが判明しています。従って、睡眠の質や量が向上していくことが、治療の進み具合を測る指標となるわけです。

 

3.まとめ

睡眠については、こころ検定4級の第3章で、睡眠障害や不眠に対する向精神薬については、こころ検定2級(メンタルケア心理士)のテキストである精神医科学基礎の中で概観していますので、興味・関心のある方は、是非、勉強してみていただければと思います。

 

 

著者・編集者プロフィール

この記事を執筆・編集したのはTERADA医療福祉カレッジ編集部

「つぶやきコラム」は、医療・福祉・心理学・メンタルケアの通信教育スクール「TERADA医療福祉カレッジ」が運営するメディアです。
医療・福祉・心理学・メンタルケア・メンタルヘルスに興味がある、調べたいことがある、学んでみたい人のために、学びを考えるうえで役立つ情報をお届けしています。

関連記事