未病の日と心理学には、どのような関係があるのでしょうか
【目次】
グリーンツーリズムの日と心理学には、どのような関係があるのでしょうか。
日本では、365日のすべてに何らかの記念日が制定されています。3月28日は「グリーンツーリズムの日」として制定されています。これは、大分県宇佐市にあるNPO法人・大分県グリーンツーリズム研究会が制定したものです。
グリーンツーリズムとは、農山漁村地域において、自然・文化・人々との交流を楽しむ滞在型の余暇活動のことです。本法人は、グリーンツーリズムの振興と発展を目的として活動しており、日付の由来は、1996年3月28日に「大分県安心院町グリーンツーリズム研究会」が発足したことにあります。大分県安心院町グリーンツーリズム研究会は、「安心院方式」と呼ばれる農村民泊プロジェクトに取り組みました。この活動が評価され、2002年3月28日には、大分県生活環境部が「グリーンツーリズム通知」を発令し、全国に先駆けて民泊施設の営業許可条件が大幅に緩和されました。これにより、グリーンツーリズムが全国的に広まるきっかけとなりました。
現在では、大分県安心院町に「グリーンツーリズム発祥の地」の記念碑が建てられており、3月28日には記念イベントとして、大分県全体で特別価格による民泊受け入れサービスなどが実施されています。
では、グリーンツーリズムと心理学には、どのような関係があるのでしょうか。
グリーンツーリズムは、農業体験・自然体験・地域住民との交流などを通じて、都市生活とは異なる、ゆったりとした時間の流れや人とのつながり、自然との共生を体験する観光形態です。そのため、心理学においても、観光心理学や健康心理学の観点から研究・実践が進められています。
観光心理学の観点から見ると、グリーンツーリズムは、ライフスタイルの一時的な質的転換と、それに伴うメンタルヘルスの回復や予防を目的とした観光行動と捉えられます。また、刺激追求型観光という側面だけでなく、回復・癒し志向型観光という側面も併せ持つと考えられています。
さらに、観光心理学には「観光動機づけ」という概念があります。たとえば、日常生活や仕事、人間関係から離れたいという逃避動機、疲労やストレスを回復したいという回復動機、自分らしさを取り戻したいという自己回復動機、人とのつながりを感じたいという関係性動機などが挙げられます。グリーンツーリズムは、これらの動機を同時に満たすことができる観光形態であるとされています。
また、グリーンツーリズムがメンタルヘルスに及ぼす影響についても検討が進められています。観光心理学や環境心理学の代表的な理論である「注意回復理論」では、都市生活において集中力を過度に使用することで、注意資源が枯渇するとされています。これに対し、グリーンツーリズムによって自然環境の中に身を置くことで、「ぼんやりと眺める」といった注意の向け方が許容され、注意資源が自然に回復していくと考えられています。
さらに、グリーンツーリズムにおける自然体験は、意識的に努力しなくても回復できる環境が提供されるという利点があり、無理なく実践できる点が特徴です。
ストレスの観点から見ると、自然環境には心拍数の低下、血圧の安定、コルチゾール分泌の低下などの効果が認められています。グリーンツーリズムにおける農村、森林、水辺などの風景や環境は、人に安心感を与えるものとなっています。
また、自己効力感(セルフ・エフィカシー)の観点からも、グリーンツーリズムは重要な位置づけにあります。農作業体験、料理、地域行事への参加などは、「自分は役に立てる存在である」という感覚を得る機会となり、その結果、自己効力感を高め、抑うつの軽減につながると考えられています。
都市生活では、挨拶や雑談、世代を超えた交流が希薄になりがちですが、農村地域では、これらが自然に行われています。そのため、グリーンツーリズムを通じて、孤独感の軽減や社会的アイデンティティの再確認が促進されることが期待されます。
これらの研究や実践を背景に、近年では、燃え尽き症候群(バーンアウト)や軽度の抑うつ状態の予防において、グリーンツーリズムの有効性が特に注目されています。
このように、心理学の分野では、グリーンツーリズムについても、さまざまな角度から研究・実践が進められているのです。
この記事を執筆・編集したのはTERADA医療福祉カレッジ編集部
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