ジェネリック医薬品の日と心理学には、どのような関係があるのでしょうか
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日本では365日の全てに何らかの記念日が制定されています。12月22日は「ジェネリック医薬品の日」となっています。これは、NPO法人ジェネリック医薬品協議会が制定したものです。日付の由来はジェネリック医薬品承認のための科学的基準を厚生労働省が定めたのが1997年12月22日であることがきかっけとなっています。この日はジェネリック医薬品の正しい理解を広めるとともに、意義や役割を多くの人に知ってもらうことが目的となっています。そもそも、ジェネリック医薬品とは有効成分が新薬(先発医薬品)と同一で、品質・効き目・安全性も新薬と同等であり、科学的な基準に従い厚生労働大臣の承認を受け、新薬の特許が切れた後に製造・販売される医薬品のことです。ジェネリック医薬品は後発医薬品ともよばれており、新薬に比べて低価格で患者の自己負担を軽減することができます。基本的に販売名は各統一ブランド名称の後ろに剤型と会社名(屋号)がつくという形式になっています。
新薬は9~17年という長い年月と数百億円以上もの費用をかけて開発されるものです。一方で、ジェネリック医薬品は既に安全性・有効性が確認された有効成分を使用するため約3~5年の短い期間で開発が可能です。
では、ジェネリック医薬品と心理学には、どのような関係があるのでしょうか。
心理カウンセリングにおいて、薬物療法として様々な向精神薬が活用されています。そして、これらの向精神薬にもジェネリック医薬品があります。たとえば、統合失調症等の治療・支援に活用する抗精神病薬であるリスペリドン・オランザピン・クエチアピン・アリピプラゾールなどはいずれもジェネリック医薬品があります。
うつ病等の治療・支援に活用される抗うつ薬は最近では副作用の少ない再取り込み阻害薬が使用されることが多くなっています。SSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)であるパロキセチン、セルトラリン、エスシタロプラム、SNRI(セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬)であるデュロキセチン、ベンラファキシン、ミルナシプランはいずれもジェネリック医薬品があります。
双極性障害等の治療・支援で活用されている気分安定薬では、カルバマゼピン、ラモトリギンについてはジェネリック医薬品があります。
不安障害などの治療・支援に活用される抗不安薬や各種睡眠障害に活用される睡眠薬には、日本においてあまりジェネリック医薬品はないのが現状であるとされています。
注意欠如・多動症(AD/HD)などの治療・支援に活用されるアトモキセチンにはジェネリック医薬品があります。
このように多くの向精神薬にはジェネリック医薬品があり、保険適用で処方されることが増えています。ただし、薬剤ごとに効果に多少の違いもあり、一部はジェネリックへの変更をせず、そのまま非ジェネリック医薬品の使用を継続することがあります。従って、ジェネリックへの切替は医師の判断の下、効果の減弱や副作用増悪の有無を短期的に確認しながら、適切に対応していく必要があります。
医療機関での精神疾患の治療・支援の中心は薬物療法であり、精神科医や心療内科医は薬剤の処方と経過観察に基づいて進められます。その上で、薬物療法では限界がある部分について、心理カウンセラーによる心理カウンセリング等が必要となります。医師と心理カウンセラーは役割分担をしながら、適切な支援を実施しているのです。特に薬物療法は医師や薬剤師などの国家資格や免許を有する専門家だけが法的に実施可能なものなので、精神医療の重要な柱であり、それをサポートする形で心理カウンセリングや心理アセスメントを合わせて行くのが、21世紀の精神医療であるといえるでしょう。
この記事を執筆・編集したのはTERADA医療福祉カレッジ編集部
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