コラム

ギャンブルと心理学の関係 <26/6リライト>

2026.6.18 心理
  • 依存症
  • ストレス

【目次】

  1. 1.ギャンブルと心の仕組み
  2. 2.性格で変わるギャンブル傾向
  3. 3.リスクに慣れる心の罠
  4. 4.ストレスが招く危険な賭け
  5. 5.気づかないストレスの正体(2026/6/18)

 

1.ギャンブルと心の仕組み

ギャンブル行動やギャンブル依存症と心理学には、どのような関係があるのでしょうか。

日本では、パチンコや競馬などの公営ギャンブルが行われています。そのうえで、カジノ誘致の構想も進んでおり、今後はギャンブルを行う機会や人の増加が予想されています。
しかし、ギャンブルには依存や借金、破産など多くの問題が伴います。では、ギャンブルという行動には、どのような心理が働いているのでしょうか。

まず、「なぜ人はギャンブルをするのか」という点に、心理学が関わっています。ギャンブルに熱中しすぎて依存症になってしまう人がいる一方で、生涯一度もギャンブルをしない人もいます。
では、このような個人差はどのようにして生じるのでしょうか。

2.性格で変わるギャンブル傾向

さまざまな研究の結果、パーソナリティ(性格)の傾向、特に主要五因子理論(ビッグ・ファイブ)における「誠実性(勤勉性)」という因子が強く影響することが明らかになっています。
誠実性(勤勉性)とは、いわゆる真面目さの傾向を示すパーソナリティ因子です。誠実性が高い人は、責任感が強く、物事に対して真面目で勤勉に取り組みます。
一方で、誠実性が低い人は、無責任さや中途半端さ、根気のなさ、気まぐれ、浪費傾向などの特徴を持つとされています。こうした傾向は、日常生活の行動や生き方にも反映されていきます。

研究によると、誠実性が高い人は学業成績が高く、仕事にも堅実に取り組み、さらに「浪費しない」という傾向が経済的な安定につながることが示されています。そのため、一般的には誠実性が高い人ほどギャンブルを行わず、低い人ほどギャンブルを行う傾向があるとされています。
ただし、これは「する・しない」という観点での傾向であり、ギャンブルをする人が依存に至るかどうかは、誠実性だけで判断できるものではありません。

 

3.リスクに慣れる心の罠<

では、ギャンブルに依存してしまったり、やめにくくなったりする状態には、どのような心理が関係しているのでしょうか。
ギャンブルはリスクを伴う行動であり、その判断には「リスク認知」という情報処理機能が重要になります。研究では、人がリスクをある程度正確に認知するためには、繰り返しの経験が必要であることが示されています。
つまり、「これ以上続けると損失が出る」という判断をするためには、ある程度ギャンブルを繰り返す必要があるということです。

しかし、ギャンブルを繰り返すうちに、リスクを正しく認知して回避するよりも先に、リスクそのものに慣れてしまい、感受性が低下してしまうことがあります。その結果、ハイリスクな行動を続けてしまうことにつながります。
これは、特定の性格だけでなく、人間の認知の仕組みそのものが、ギャンブルを続けてしまうきっかけになり得ることを示しています。

 

4.ストレスが招く危険な賭け

ギャンブルと心理学には興味深い研究もあります。オーストラリアで行われた実験では、ワニ園を訪れ、実際にワニに触れた人々を対象に、その嫌悪感を調査しました。その後、スロットゲームに参加してもらったところ、ワニに対する嫌悪感が強い人ほど、ギャンブルに対して慎重な姿勢をとる傾向が見られました。
一方で、嫌悪感が弱い人は、よりリスクの高い行動をとる傾向が確認されました。人の意思決定とストレスには強い関連があり、ストレスが高い状態ではリスキーな判断をしやすくなることが知られています。この点からも、ストレスとギャンブルの関係が示唆されます。

また、現実社会でも、ストレスとギャンブル的行動の関連を示す出来事が見られます。
アメリカのカリフォルニア州オレンジ郡やベアリングス銀行の事例では、当事者が複雑な金融派生商品を扱う中で、結果的にギャンブル的な投資行動を繰り返しました。その背景にどの程度のストレスがあったかは明確ではありませんが、最終的には巨額の損失が発生し、組織の破綻につながりました。

このように、ギャンブル的な行動とストレスには一定の関連があり、その影響が大きな問題へと発展することもあるのです。

 

5.気づかないストレスの正体

日々の身近な問題として、ストレスへの反応とギャンブルの関係についても研究が行われています。
ストレスを感じているにもかかわらず、「感じていない」「自分は大丈夫だ」と思い込んでしまうケースがありますが、これは感情認知困難と呼ばれる状態で、企業の経営者や管理職に多く見られるとされています。

この状態が問題となるのは、実際にはストレスが存在しているにもかかわらず、「ストレスの影響で眠れない」「ストレスのせいでイライラする」といった一般的な反応が現れにくい点にあります。本人にも自覚がないため、心理検査などでも「ストレスがない」と判定されてしまう可能性が高くなります。

経営者や管理職に感情認知困難が多い理由として、ストレスを感じても、それを感情や行動として周囲に見せにくい立場にあることが挙げられます。その結果、ストレスは別の形で表出されるようになります。例えば、過食や過度の飲酒・喫煙、さらにはギャンブルなどです。

特に感情認知困難とギャンブルの関係については、本来抱えているネガティブな感情をうまく言語化・認識できない状態において、ギャンブルによる刺激でそれらを麻痺させ、不快な感情を回避しようとするという仮説があります。これは「自己治療仮説」と呼ばれることもあります。

また、自分の感情を認識しにくいために衝動的な行動が起こりやすくなり、その結果、ギャンブルをやめにくくなってしまう可能性も高まります。

・初回投稿:2023年1月26日 

・リライト及び新規追加:2026年6月18日 

 

 

著者・編集者プロフィール

この記事を執筆・編集したのはTERADA医療福祉カレッジ編集部

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