ノーベル賞授賞式と心理学には、どのような関係があるのでしょうか
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日本では365日の全てに何らかの記念日が制定されています。12月10日は「ノーベル賞授賞式」の日となっています。ノーベル賞はスウェーデンの化学者であるアルフレッド・ノーベルが亡くなった日である12月10日が由来となって、毎年、この日に授賞式が開催されています。ノーベル賞は物理学・化学・生理学医学・文学・平和・経済学の6分野があり、平和賞はノルウェーの首都であるオスロの市庁舎で授賞式が実施されます。それ以外の賞はスウェーデンの首都であるストックホルムのコンサートホールで授賞式が実施されます。
受賞者には賞金の小切手・賞状・メダルがそれぞれ贈られます。ノーベル賞の選考はノーベルが生まれたスウェーデンの研究機関が実施しますが、平和賞については創設当時にスウェーデンと連合王国だった関係もあり、ノルウェーで選考されています。なお、賞ごとに選考委員会が作られ、世界中の大学や専門家に推薦依頼を送って、その返答をもとに受賞者が選ばれています。ノーベル賞は基本的に個人にのみ与えられる賞ですが、平和賞のみ団体の受賞が認められており、過去に国境なき医師団(MSF)や核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN)などが受賞しています。また、2024年に被爆者の立場から核兵器廃絶を訴えてきた日本被団協(日本原水爆被害者団体協議会)が平和賞を受賞しています。
では、ノーベル賞と心理学には、どのような関係があるのでしょうか。
残念ながら“ノーベル心理学賞”という賞は存在しません。ただし、心理学と関係の深い研究がノーベル賞を受賞した実績があります。代表的な例として、イワン・パヴロフはその後の学習心理学(行動分析学)の礎となる研究成果によって1904年にノーベル生理学・医学賞を受賞しています。パヴロフは1902年に実験中に飼育係の足音で犬が唾液を分泌している事を発見したことをきっかけに条件反射の実験を実施しました。これが後のレスポンデント条件づけ(古典的条件づけ)や行動療法に大きな影響を与えることになりました。ただし、パヴロフの研究のメインは消化腺に関するものでしたが、世間的な興味・関心はどちらかというと条件反射についての研究成果だったため、パヴロフも各種講演や演説において、もっぱら条件反射について話していたとされています。
ノーベル経済学賞にも心理学と関連の深い研究があります。2002年にノーベル経済学賞を受賞したダニエル・カーネマンとエイモス・トベルスキーは不確実性な状況における意思決定モデルであるプロスペクト理論、人間の意思決定の重要なポイントとなるヒューリスティクスとバイアスの影響、人間が遭遇する様々な体験・経験の記憶はほぼ完全にピーク時と終了時がポジティブであったか、ネガティブだったかで決まってしまうというピーク・エンドの法則などを科学的な研究によって明らかにしています。これらの成果は行動経済学(経済心理学)の基礎となり、現在も様々な形で研究が進められています。
私たちが何かを見たり聞いたりすることは専門的には知覚とよばれ、知覚心理学という分野で研究が実施されています。直接、映像や映画に関する心理学的な知識ではありませんが、こころ検定4級の第4章で、知覚心理学について概観していますので、興味・関心のある方は、是非、勉強してみていただければと思います。
このように、ノーベル賞と心理学には深いかかわりがあり、今後のノーベル賞受賞研究が心理学や精神医学の発展に貢献していくと考えられます。
この記事を執筆・編集したのはTERADA医療福祉カレッジ編集部
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