アンチエイジングの日と心理学には、どのような関係があるのでしょうか
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日本では365日の全てに何らかの記念日が制定されています。11月14日は「アンチエイジングの日」に制定されています。これは特定非営利活動法人(NPO法人)アンチエイジングネットワークが2007年に制定したものです。日付の由来は「いい(11)とし(14)」(良い歳)の語呂合わせからきています。
この日は生活習慣病を予防する予防医学の定着と、年齢を重ねてもいききと活躍するための活力となる「見た目の若さ」を保ち続ける方法の認知拡大が目的となっており、自分自身の心と身体に向き合う日としての普及を目指しています。この日はアンチエイジングセミナーをはじめとした様々なイベントを実施し、良い歳をとるために、心と身体の状態をチェックすることを呼びかけています。また、若々しく健康的に年を重ねている著名人を表彰するアンチエイジング大賞の発表や、インターネットを通じて公募するアンチエイジング川柳などが実施されています。
では、アンチエイジングの日と心理学には、どのような関係があるのでしょうか。
心理学には発達心理学という分野があり、その中に老年心理学という分野があります。老年心理学とは発達過程における区分で特に老年期について研究する分野です。主に65 歳以上の年齢層における加齢に伴う精神的変化やその変化への心理的適応を研究対象としています。つまり、シニア世代を心理学的に研究するのが老年心理学であるといえます。日本だけでなく、世界中で高齢者の人口は増えており(少子高齢化)、身体的な健康問とともに精神面の問題も高齢者には多く存在しています。従って、現在、盛んに研究が進められている分野の1つが老年心理学なのです。
老年心理学では、当初、発達段階としての老年期を老年前期と老年後期に分けていましたが、近年、比較的健康な高齢者も多く、特に日本が高齢化社会になっていることも踏まえて、さらに超高齢期を加えた3つの区分が設定されています。老年期はあらゆる能力の低下が発生します。特に身体能力の低下が顕著であり、老年期の身体能力の低下は主に予備力・防衛力・回復力・適応力の4つで発生します。予備力とは個人の最大能力と日常生活において最低限必要な能力の差のことであり、予備力の低下は余力の無さであり、変化や新規事態への反応が困難になります。防衛力は危険回避のための動作に関する能力や免疫力・抵抗力を指します。防衛力の低下により、怪我や病気のリスクが増加することになります。
回復力は内臓などの障害や運動後の疲労からの改善のことを指します。回復力の低下により、各種疾患の治癒や退院までにかかる時間が長期化してしまいます。適応力とは、環境の変化に対する適応の程度のことを指します。 適応力の低下により、気温・湿度・気圧などの変化への適応が困難になります。これらの身体面の能力低下への不適応は、ストレッサーとなることも多く、精神的健康へも悪影響を与えるものであります。加齢に伴う能力低下は誰の身にも起こることであるものの、個人差や生活習慣の改善などを通じて能力低下の進行を遅くすることはできても、完全にストップさせるということは不可能です。従って、「年老いた自分」や「能力の低下した自分」という現実を受け入れなければなりません。老年期は自身の心身の状態を受容することができるかどうかが非常に重要なのです。そして、できることはそのまま自分で実施し、できないことに絶望せずに受け入れ、さらには新しい事にも果敢にチャレンジしていくというライフスタイルを確立することが必要なのです。
このように、心理学では特に老年心理学という分野でシニア世代(高齢者)の心理について、研究が進められているのです。
老年心理学については、こころ検定3級の第1章やこころ検定1級の応用生活心理学の中で概観していますので、興味・関心のある方は、是非、勉強してみていただければと思います。
この記事を執筆・編集したのはTERADA医療福祉カレッジ編集部
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