コラム

グリーフケアとペットロスの深い関係性

2025.9.11 心理
  • グリーフケアカウンセラー
  • アニマル・ペットロス療法士(R)講座
  • ペットロス・ハートケアカウンセラー講座

【目次】

  1. 1.はじめに
  2. 2.ペットロスとは何か
  3. 3.なぜ支援が必要なのか
  4. 4.グリーフケアの実践例
  5. 5.まとめ

 

1.はじめに

「家族の一員」として暮らしてきたペットとの別れは、時に人間の喪失体験と同等、あるいはそれ以上の深い悲しみを伴います。にもかかわらず、社会的にはその悲しみが十分に理解されず、孤独なグリーフ(悲嘆)を抱える人も少なくありません。ペットロスに対するグリーフケアは、今まさに社会的な認知と支援が求められている分野です。

 

2.ペットロスとは何か

ペットロスとは、ペットとの死別や離別によって生じる心理的・身体的な反応を指します。

 

  • 抑うつ、不安、罪悪感、怒りなどの感情
  • 食欲不振や睡眠障害などの身体症状
  • 日常生活への意欲低下や社会的孤立

 

これらは人間の喪失体験と同様のグリーフプロセスを辿ることが多く、特に高齢者や単身者にとっては、ペットが生活の中心であった場合、喪失の影響は計り知れません。

 

3.なぜ支援が必要なのか

ペットロスは「社会的に認知されにくい悲嘆(ディスエンフランチャイズド・グリーフ)」とされ、周囲から「たかがペットでしょ」と軽視されることもあります。これにより、悲しみを表現する場を失い、孤立感が深まるケースが多く見られます。
また、ペットとの関係性は極めて個人的であり、喪失の意味や痛みも人それぞれです。画一的な対応ではなく、個別性に配慮したケアが求められます。

4.グリーフケアの実践例

ペットロスに対するグリーフケアは、以下のような形で展開されています。

 

  • 傾聴と共感:悲しみを否定せず、ありのまま受け止める対話の場の提供
  • メモリアル活動:写真や思い出を共有することで、喪失を意味づけるプロセスを支援
  • 心理的支援:カウンセリングやセルフケアの指導による心の安定化
  • 動物葬儀・供養の充実:宗教的・文化的背景に配慮した儀式の提供

 

近年では、動物病院や自治体、NPOなどが連携し、ペットロスに特化した支援プログラムやペットロスを題材にグリーフケア教育(グリーフケア・カウンセラーRの資格認定)展開する動きも広がっています。

5.おわりに

ペットとの別れは、人生の中で最も深い悲しみのひとつとなり得ます。その悲しみに寄り添い、社会全体で支える仕組みを築くことは、命の尊厳を守ることにもつながります。グリーフケアの視点からペットロスを捉えることで、私たちは「悲しみを癒す文化」を育てていくことができるのです。

 

 

 

著者・編集者プロフィール

この記事を執筆・編集したのはTERADA医療福祉カレッジ編集部

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