宿題の日と心理学には、どのような関係があるのでしょうか
【目次】
日本では365日の全てに何らかの記念日が制定されています。8月31日は「宿題の日」に制定されています。これは「全ての子供たちに教育の機会を提供する」ことを掲げ、世界中で活動をしているイギリスのチャリティー団体である「A World At School」が「#UpForSchool」というキャンペーンの一環で制定したものです。日付の由来は世界の多くの国で夏休みの終わりの日が8月31日であることです。夏休みの宿題を終わらせるために必死で勉強をした思い出を持つ人が多い8月31日に学べる喜びにきづいてもらうことで「全ての子供たちに教育の機会を提供する」という大きな宿題を一緒に終わらせたいとの願いが込められています。また「#UpForSchool」は世界中の1,000万人以上が「A World at School」運動によって組織されたもので、2015年に国連総会の世界的な指導者に引き渡された「#UpForSchool」嘆願書に署名しています。これは歴史上で最大の教育嘆願であり、全ての子供が質の高い教育を受ける権利があるという世界的な宣言ともなっています。
では、宿題と心理学には、どのような関係があるのでしょうか。
宿題といえば、学校や勉強ということになるかと思います。心理学には教育心理学と学校心理学という分野があります。まず、教育心理学とは「人間形成に関する原理と方法」と定義されています。教育心理学の理論的側面とは、人と環境の相互作用という観点から人間形成(教育)という現象を説明することとされています。特に、環境のあり方と個人の変容との関連を解明することであるとしています。ここでいう環境とは主に学校などの教育機関を指します。一方、教育心理学の実践的側面とは、教育の問題を解決するために必要な知識や技術を体系化することであるとされています。たとえば、授業についていけない児童への対応や、いじめなどの問題への対策などです。教育心理学におけるこの2側面は、独立した目的として存在しているのではなく、この両側面を不可分のものと捉え、両者の統一を目的としています。従来の教育心理学では、発達・教授・学習・パーソナリティ(人格)・適応・測定・評価が主な領域とされてきました。しかし、近年では集団・人間関係や臨床・障害などに関する研究領域も重要視されるようになってきました。
そして、この教育心理学から派生した分野として、学校心理学というものがあります。学校心理学とは、学校における児童・生徒の学習面と適応面に焦点を当て、学校教育場面において、心理学上の専門的な援助を行うための実践体系です。主に学校カウンセラーや学校心理学者などの専門家が学校で行うカウンセリングやガイダンスあるいはコンサルテーションを行うための心理学的な知見が学校心理学なのです。学校心理学では、児童・生徒の精神衛生や適応の問題に焦点を当てる一方で、学習上の問題にも焦点を当てています。そのため、疾患の治療・支援を中心とした臨床心理学やカウンセリングなど焦点をよりも、広い領域での専門的な心理学的援助を目的としています。また、教育心理学は統制された条件のもとで研究を実施し、その結果に基づいた対応策を構築していくことを目的としていますが、学校心理学では、学校の現実的な諸状況のもとで起こっている心理学的な諸問題について、直接的な解決を目的としています。この点で、学校心理学は教育心理学より実際的かつ実践的な学問体系を志向しているのです。
具体的な学校心理学の内容は、主として3分野から構成されています。1つは児童・生徒の発達や問題に関する心理学的基礎分野です。児童期・青年期の発達や学習、障害、行動などの各種理論によって構成されています。もう1つは、児童・生徒、教師など教育スタッフ、保護者に対する心理教育サービスに関する分野です。心理教育アセスメント、カウンセリング、コンサルテーション、ガイダンスなどの各種理論と技法で構成されています。最後の1つは、学校教育に関する分野であり、教授法や治療教育法、学校組織論、教育行政学、学校経営論、障害児教育学などの学校領域の各種理論と技法から構成されています。
教育心理学については、こころ検定3級の第3章で概観していますので、興味・関心のある方は、是非、勉強してみていただければと思います。
この記事を執筆・編集したのはTERADA医療福祉カレッジ編集部
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