コラム

アイデアの日と心理学の関係

2025.6.5 心理
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アイデアの日と心理学には、どのような関係があるのでしょうか

 

【目次】

  1. 1.6月1日は「アイデアの日」
  2. 2.心理学における「流動性知能」「創造的思考」という概念について
  3. 3.まとめ

 

1.6月1日は「アイデアの日」

日本では365日の全てに何らかの記念日が制定されています。6月1日は「アイデアの日」に制定されています。これは様々なアイデア商品を開発・販売しているサンスター文具株式会社が制定したものです。日付の由来は同社の創業者の命日が6月1日であることがきっかけとなっています。この日はアイデアに挑戦する日として、同社では新製品のアイデア商品の募集や商品化を前提とした賞の授賞式などを実施しています。また、同社のサイトでは「毎日を変える 特選アイデア文具」として、定番商品や話題の新商品を紹介しています。

 

では、アイデアと心理学には、どのような関係があるのでしょうか。

 

2.心理学における「流動性知能」「創造的思考」という概念について

心理学では知能に関する研究が実施されていますが、その中で流動性知能という概念が提唱されています。流動性知能は変化しやすい部分であるとされており、新しい場面への適応を必要とする際に働く能力であるとされています。流動性知能は脳・神経や個人の生理学的・生物学的な成長・発達と関係しているとされています。たとえば、クイズのように全く知らない、これまでに勉強したことがない事柄について問題が出された際、予想や推測に基づいて問題を解くことになります。このような場面において活用されるのが流動性知能なのです。従って、新しいアイデアを思いついて、それを形にしている際には流動性知能が重要となると考えられます。流動性知能は遺伝によるところが大きく、20代ころまでに知能の上昇がピークを迎え、その状態が60代ころまで維持されるものの、その後、急速に低下するとされています。ある程度の年齢以上になると、新しいことにチャレンジしたり、それに慣れたりするのが難しくなるのは、流動性知能の低下が原因であると考えられます。

 

また、心理学では創造的思考という概念も提唱されています。創造的思考とは、思考が一定の目的に沿って新たな「モノ」を生み出していくことを指します。同じような意味の用語に生産的思考というものがありますが、生み出されるものが新たな手段に留まらず、その所産全体にまで言及するのが創造的思考であると定義されています。創造的思考は連想やアナロジーによって関連する各種の心的イメージが生産的記憶によって統合されることで「創造的想像」を生み出すことができます。この段階では、思考は大きく広がっており、まだまとまりのない状態です。そして、次の段階で問題とする領域の構文的構造の影響を受けながら、既存の手段の援用に留まらない新たな手段を導き出し、これまでにない新たなものを生み出すことができます。創造的思考はアイデアを発送・発展させていくために非常に重要なものとなっています。そして、アイデアを沢山出す方法として、心理学ではブレーン・ストーミングという手法について提唱しています。これは、アメリカの心理学者であるアレックス・オズボーンが考案した発想法です。ブレーン・ストーミングは既存の考え方に囚われない思考・発想によってオリジナリティ溢れる独創的なアイデアを生み出すために、集団意思決定の方向性をコントロールすることで創造的思考を活性化させる手法として有名です。ブレーン・ストーミングでは、議長の役割(司会進行)を担う人と10人前後のメンバーが会議形式で実施します。まず、議長役は参加者に次の基本原則の呈示を行うところからスタートし、以下のような手順で進めて行きます。

 
1. 他人のアイデアについて評価・批判しない
2. 自由奔放なアイデアを尊重する
3. アイデアの量を求める
4. 他人のアイデアの結合と改善をする

 

3.まとめ

ブレーン・ストーミングには沢山のアイデアを出せるというメリットもありますが、デメリットもあることが判明しています。社会心理学における実験によって、集団の人数を同数にした上で、ブレーン・ストーミングによるミーティングと、普通に意見を出し合うミーティングで、アイデアの生産性の比較をしたところ、算出されるアイデアの量的な意味でも、質的な意味でも、ブレーン・ストーミングに優位性は必ずしも認められていないということが判明しています。

 
このように、心理学ではアイデアや創造性についても、様々な角度から研究が進められています。

 

 

著者・編集者プロフィール

この記事を執筆・編集したのはTERADA医療福祉カレッジ編集部

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