日本に様々なメンタルヘルスに関する機関や施設があります。
メンタルヘルスに関する機関や施設というと、病院やカウンセリングルームが最初に思い浮かぶかと思います。
これ以外にも、実は様々な機関・施設が日本には存在しています。
発達障害者支援センターとは、発達障害者支援法に基づいています。
発達障害者支援法は2005年4月に施行された、比較的新しいメンタルヘルス関連の法律です。
この法律は神経発達症(発達障害)である自閉スペクトラム症・注意欠如・多動症(AD/HD)・限局性学習症などを持つ者に対する援助等について定めた法律です。
この法律では、児童の発達障害の早期発見及び発達障害者の支援のための施策や、児童の発達障害の早期発見・早期支援、保育・教育・放課後児童健全育成事業の利用・就労・地域生活といった、あらゆる場面での支援や権利擁護・家族への支援を、地方公共団体や社会全体に要請することを大きな1つの目的としています。
発達障害者支援センターは、発達障害児(者)への支援を総合的に行うことを目的とした専門的機関です。
都道府県・指定都市自ら、または、都道府県知事等が指定した社会福祉法人、特定非営利活動法人等が運営しています。
このセンターでは、発達障害児(者)とその家族が豊かな地域生活を送れるように、医療・保健・福祉・教育・労働などの関係機関と連携し、地域における総合的な支援ネットワークを構築しながら、発達障害児(者)とその家族からの様々な相談に応じ、指導・アドバイスを実施しています。
発達障害者支援センターの主な業務は以下の4つになります。
発達障害児(者)とその家族、関係機関等から日常生活での様々な相談への対応。また、必要に応じて福祉制度やその利用方法や医療・保健・福祉・教育・労働などの関係各機関への紹介も実施する。
発達障害児(者)とその家族、周囲の人の発達支援に関する相談に応じ、家庭での療育方法について指導・アドバイスを実施する。また、知的発達や生活スキル・社会スキルに関して、知能検査や発達検査を実施したり、発達障害児(者)の特性に応じた療育や教育、支援の具体的な方法について支援計画の作成やアドバイスを実施することもある。その場合は、児童相談所や知的障害者更生相談所、各種医療機関などとも連携を取る。
就労を希望する発達障害児(者)に対して、就労に関する相談に応じるとともに、公共職業安定所・地域障害者職業センター・障害者就業・生活支援センターなどの労働関係機関と連携して情報提供を実施する。また、発達障害者支援センターのスタッフが学校や就労先を訪問し、障害特性や就業適性に関するアドバイスを実施したり、作業工程や環境の調整などを実施するケースもある。
発達障害をより多くの人に理解してもらうために地域住民向けの講演会を開催したり、発達障害の特性や対応方法などについて解説したわかりやすいパンフレット・チラシなどを作成し、医療・保健・福祉・教育・労働だけでなく、交通・消防・警察などの公共機関や一般企業などに配布し、正しい知識の普及に努める。また、普段から発達障害を支援する医療・保健・福祉・教育・労働などの関係機関の職員や、都道府県及び市町村の行政職員などを対象に研修を実施する。
このように発達障害者支援センターは当該者とその関係者へのサポートの実施だけでなく、啓蒙・教育のための活動を通じて、発達障害に関する正しい知識の普及にも努めています。
そんな発達障害支援センターでは、どのような専門家が勤務しているのでしょうか。基本的には法律の規定に則り、3名の専任職員の配置が義務付けられています。
そして、職種としては、社会福祉士の資格を有する方が必ず配属されています。その上で、各センターで、心理カウンセラー(公認心理師・臨床心理士)・言語聴覚士・精神保健福祉士・医師などが配置されているセンターもあります。
従って、発達障害支援センターでは、心理カウンセラーも活躍しており、他の専門職と連携して業務に従事しているのです。
この記事を執筆・編集したのはTERADA医療福祉カレッジ編集部
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