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天気は人間のこころ(感情)に影響を与えることがあり、場合によってはストレスやストレス関連疾患の要因となることもあります。そこには、自律神経やホルモンバランスも関係しています。そのため、メンタルケア・ストレスケアの面では、特に季節の変わり目に注意が必要です。
このように寒暖の差が激しかったり、乾燥した日が続いたりすると、身体的な病気にかかりやすくなります。また、病気にはならないまでも、体調を崩すことが多くなります。
そして、“崩れる”のは身体の健康だけではありません。精神面の健康も“崩れる”ことがあるのです。たとえば、空が曇っていたり雨が続いていたりすると、気分が落ち込んでしまうという人もいるのではないでしょうか。
では、天気は実際に私たちの気分にどのような影響を与えているのでしょうか。ここで、アメリカで実施された【天気と感情】に関する心理学の研究をご紹介します。
この研究では、まず実験参加者が住んでいる地域の現在の天気を確認しました。そのうえで参加者に電話をかけ、現在の気分についてアンケート形式で回答してもらい、天気と気分の関係を調べました。
その結果、晴れているときに回答した人にはポジティブな気分である傾向が認められました。反対に、雨や曇りのときに回答した人にはネガティブな気分である傾向が認められました。つまり、住んでいる場所の天気が気分に影響を与えていることが明らかになりました。
このように、単純な“今日の天気”が、私たちの心理状態に影響を及ぼすのです。
ただし、“今日の天気”だけで精神的な疾患になってしまうことはあまりありません。精神的な疾患の引き金やストレスの原因となるのは、“天気の変化”による影響です。
私たちの身体は、自律神経によって常に一定のバランスが保たれています。このバランスが保たれていることで、心身の健康が維持されているのです。自律神経が担う調整は、内臓の働きや血糖値、各種分泌物の量など、非常に多岐にわたります。その中で、外部の気温や気圧の変化に対しても、私たちの身体は常にバランスを取ろうとしています。
真夏の暑い日に汗をかくのは、汗が蒸発する際に熱が奪われることを利用して、体温を下げるためです。それは、真冬に寒さで身体が震えるのは、筋肉を小刻みに動かすことで、少しでも熱を生み出すためです。これらの反応は、自律神経が外部の気温に合わせてバランスをとり、私たちが適切に生活できるようにするために起きているものです。
このように、私たちの身体は天気・天候がもたらす気温などの影響にうまく対応することができます。
しかし、急激な変化にはすぐに対応できず、その結果、ストレスを感じてしまうことがあります。四季のように少しずつ変化していくものであれば、私たちは徐々に慣れていくことができまが、台風の接近によって気圧が急激に変化したり、寒暖の差が激しい日があったりすると、身体は外部の変化に適応しきれません。そのため、気づかないうちに強いストレスを感じてしまうことがあるのです。
気温や気圧の急激な変化によって体調を崩すことがありますが、これは自律神経によるバランス調整が追いつかない結果でもあります。

天気の影響が顕著な精神疾患として、季節性感情障害(季節性情動障害)があります。
これは、うつ病の症状である抑うつや意欲の低下などが秋から冬にかけて現れ、春から夏にかけて治まるというものです。1年だけこのような症状があったのではなく、2年以上続けて季節によって感情面の問題が生じている場合に、季節性感情障害(季節性情動障害)と診断されることがあります。
うつ病の原因はさまざまですが、天気や季節も原因となることがあるのです。
このように、天気や季節は私たちの“こころ”に大きな影響を与えます。そのため近年では、心理学・カウンセリング・メンタルヘルスの分野と気象学の分野との連携(コラボレーション)の必要性が高まっています。自分の気分の都合に合わせて、天気を変えることはできません。
しかし、天気予報を単に“傘を持って出かけるかどうか”の判断に使うだけでなく、”明日は気温や気圧が変化するから、気分が落ち込むかもしれない”という予測に活用し、ストレスや精神疾患の予防に役立てられる日が、近い将来訪れるかもしれません。
天気や天候に関する研究は日々進展していますが、古くから言われている現象が科学的に正しいのかを検証する研究も行われています。
たとえば、「雨の日は本当に落ち込んだり、憂うつな気分になったりするのか」というテーマです。研究の結果、雨そのものが心理に及ぼす影響には、非常に大きな個人差があることが分かっています。
これは、内向性・孤独感・不安傾向が強い人は、曇りの日に気分が低下しやすいことが報告されています。一方で、雨音や、曇りや雨の日の薄暗さ・閉ざされた感覚が、かえって安心感をもたらすという人もいます。
つまり、雨は必ずしもメンタルヘルスにとって悪いものではなく、一人ひとりの感覚特性との相互作用によって、ポジティブにもネガティブにも作用し得るものだと考えられます。
日本には春・夏・秋・冬の四季がありますが、季節に関する研究も行われています。
その中に、春に生じやすい不安についての研究があり、これは「春不安(Spring Anxiety)」と呼ばれることがあります。原因としては、天候面では日の長さの変化や花粉など、生活面では環境の変化・新生活・睡眠リズムの変化・周囲からの期待などが挙げられます。春はポジティブなイメージを持たれやすく、実際に前向きな要素も多い季節です。
しかしその一方で、新しい生活への適応による負担や、冬から春への季節の変化に伴う覚醒水準の高まり(覚醒亢進)などの影響も考えられるのです。
天気や季節がこころに与える影響を知り、自分の気分の変化に早めに気づくことは、ストレスを未然に防ぐ第一歩になります。
ストレスを自ら予防するための知識を身につけるために、ぜひ文部科学省後援「こころ検定」の受検勉強をしてみてください! きっと日々の生活に役立つはずです。
・初回投稿:2017年2月28日
・リライト及び新規追加:2026年10月12日
この記事を執筆・編集したのはTERADA医療福祉カレッジ編集部 「つぶやきコラム」は、医療・福祉・心理学・メンタルケアの通信教育スクール「TERADA医療福祉カレッジ」が運営するメディアです。 医療・福祉・心理学・メンタルケア・メンタルヘルスに興味がある、調べたいことがある、学んでみたい人のために、学びを考えるうえで役立つ情報をお届けしています。