心理

2019/3/4

イメージとは?

イメージという言葉はよく耳にしますが、心理学的にはどのように定義されているのでしょうか。

イメージという言葉はよく耳にしますが、心理学的にはどのように定義されているのでしょうか。

 

心理学では、イメージを「心的イメージ」や「心像」とよびます。

 

心的イメージとは、言語以外の内的な表象と定義されています。

 

私たちにはそれぞれの感覚に対応した記憶イメージや想像イメージがあります。

 

心理学では、19世紀後半にイメージに関する研究がスタートし、その初期にフェヒナーによって心的イメージの種類を細かく定義されましたが、最近の研究では、心的イメージという用語を広い意味で使用することが多くなっています。

 

イメージの初期の研究では、記憶や思考の基本的要素として心的イメージを考え、方法も内観法などの主観的な方法に頼ったものでした。

 

しかし、学習心理学(行動分析学)を主とした行動主義がアメリカで発展し始めた1930年代からは、心理学の研究対象から、意識や主観的内容が外されていきました。

 

その結果、心理学において、イメージ研究はタブー視されることになりました。

 

ただし、ヨーロッパではゴールトンによる個人差の研究の中で、イメージ能力の研究やイェンシュに代表される直観像研究が続けられていました。

 

イメージに関する研究は、1960年代後半に認知心理学の発展に伴って再び盛んになりはじめました。

 

心理学者のブルックスやシーガルは、知覚的課題を用いて、その課題で用いる感覚と同じイメージを思い浮かべることが、課題の遂行に妨害効果を持つこと、予期的なイメージでは課題遂行への促進効果が認められることなどが判明しました。

 

また、イメージは記憶の分野でも研究されるようになりました。

 

心理学者のペーヴィオは単語の記憶が言語とイメージという二重コードによって構成されていることを明らかにしました。

 

同様にバッデリーも、記憶とイメージの関係について検討し、作業記憶の一部として心的イメージを捉え、知覚に対するイメージの妨害効果という現象から、各イメージと関連する個別の作動記憶があると想定しました。

 

同じ時期にVVIQなどの質問紙法によるイメージ能力の測定や、問題解決や記憶方略としてのイメージの利用についての研究が実施されました。

 

また、周囲の空間がどのように表象されているかという、いわゆる認知地図の研究も、心理学的なイメージ研究の一部として行われるようになりました。

 

さらに、1971年に発表された心理学者のシェパードとメッツラーの心的回転の実験が、イメージ研究をさらに躍進させました。

 

心的回転の実験は、心的イメージの操作を反応時間の点から検討し、イメージの処理過程を定量的に検討する研究の端緒となりました。

 

1980年代には、視覚イメージの走査・解像度・視野の広さ・視覚イメージへの順応によって生ずる残効などが実験的に検討され、イメージと知覚の機能的等価性の理論が展開されました。

 

最近のイメージ研究で注目されているのは、神経心理学的な観点からの研究が増えてきています。

 

1980年代以降に、心理学者のローランドとフライバーグは、実験参加者が視覚イメージや触覚イメージを思い浮かべている時の脳内循環血流量を測定し、イメージの想起に脳の皮質のどの部位が関係しているかを示しました。

 

また、心理学者のコスリンやファラを中心に、脳損傷によって夢や視覚イメージを体験できなくなった患者の症例に基づいた研究や、PETを用いてイメージ時の脳内の活動を調べる研究が行われています。

 

これらの研究結果は、視覚イメージの過程がイメージを構成する情報の貯蔵やイメージの生成、その視査といった一連の過程からなることを示唆するものであると考えられています。

 

さらには、イメージを活用した心理療法も実施されており、心理カウンセリングの現場で、一定の効果を挙げています。

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