心理

2022/12/22

共感の心理学

 共感するとはどういうことなのかについて、心理学的な観点から解説したいと思います。 

 

他者に共感することや「共感力」などがコミュニケーションにおいて重要であるといわれることが増えています。
では、この共感とは、科学的にはどのようなものとして定義されているのでしょうか。
 

 

■共感と同情

共感と似た言葉として「同情」という言葉があります。
しかし、共感と同情は似ているように感じる方も多いかと思いますが、実は全く異なるものです。
一般的に他者から「共感されたい!」と思うのは、誰しもが抱えている対人関係におけるポジティブな欲求です。
ですが、他者から「同情されたい!」と思ったとしたら、そこには「かまってほしい」「自分は惨めだ」「もっと優しく接して欲しい」などのネガティブな要素が背景にあるということになります。

 

また、共感は「ヒト」と密接にリンクするものであり、その人の性格や人柄などとの関連が強いものです。
一方で、同情とは「出来事」や「経験」と密接にリンクするものであり、「そんなに辛い経験をしたなんて、かわいそう」といったように主軸は何らかの「ネガティブな出来事」の方に置かれるものです。
 

 

共感はポジティブなつながりを作り、同じ目標に向かって進んでいくきっかけとなります。
従って、職場のリーダーなどに共感が集まる状態は、仕事のパフォーマンスを上げ、集団(企業組織や事業所など)の雰囲気を良くし、「ここで働き続けたい」という思いを強くさせます。
共感を集めることができるというスキルは「良いリーダー」における重要な条件の1つなのです。

 

一方で、同情は一次的に優しくしてくれたり、味方になってくれたりする人が出てくるかもしれませんが、ネガティブな出来事に紐づいている感情なので「次に進む」とか「仕切り直す」、「改善・解決に向けて努力する」などの前向きなアプローチを阻害してしまいます。
「リーダーに対して、みんなが同情してくれている」という状態は、みんなが過去の出来事に囚われている状態なので、仕事のパフォーマンスは上がらず、職場の雰囲気も悪くなってしまいます。
 

 

また、人間は他者から共感されることで、ポジティブな気持ちになり、自尊心が高まります。
つまり、共感されるリーダーの存在が集団を1つにまとめると同時に、リーダー自身の持つポテンシャルを最大限に引き出すきっかけともなるのです。
 

共感はどのように発生するのかについて、心理学では主に社会心理学や感情心理学の観点から研究されています。
そして、これらの研究成果はコインの裏表のようなもので、共感が発生するきっかけは、そのまま「共感されるためのテクニック」に応用することが可能です。

 

■共感されるためのテクニック

(1)名前をつける

誰でも自分が理解できないモノ・ヒトに共感はできません。
そこで、まずは名前をつけることで、モヤモヤとして不明瞭な状況をはっきりとさせ、カテゴリー化させます。
たとえば「会社の上司がいつもと雰囲気や態度が違う」というだけだと、状況が不明確なので、これでは共感のしようがありません。
そこに「リストラを命じられた部下思いの上司が苦しんでいる」というストーリーが加われば、それは「苦しい」という名前を持った感情として、理解され、共感されます。
つまり、他者から共感されるためには、自分自身の感情(状態)を、一言で分かり易くまとめられるようなキーワード化することが重要です。
 


(2)役割を持たせる

共感してくれた他者は、何らかの新たな役割を担うことになります。
たとえば「リストラを命じられた部下思いの上司が苦しんでいる」という状況に対して共感してくれる人がいたとすると、その人は「上司の相談相手」という新たな役割を取得することになります。
従って、他者からの共感を得たいのであれば、具体的な“役割”をイメージした情報発信が重要になります。
情報を受け取った各々が「私は〇〇という形でサポートできるかも?」とか「それなら、△△と声をかけてみようかな?」などと思えるような“サイン”を分かり易く出すと共感を得やすくなります。
 

 

心理カウンセリングでは、共感が基本テクニックとして重要であるとされています。
心理カウンセリングにおける共感とは、クライエントの認知様式などを理解した上で、クライエントと同じように考え、感じ、理解するということを指します。
たとえば、「あなたがそのように考えたり、感じたりしたということは、よく分かります」というように、あたかもクライエント本人であるかのように理解するのが共感なのです。
 

共感について、より詳しく知りたい方は、心理カウンセリングの文脈における解説ではありますが、こころ検定2級のテキストある、カウンセリング基本技法で概観していますので、興味・関心のある方は、是非、勉強してみていただければと思います。 

 

 

著者・編集者プロフィール

この記事を執筆・編集したのはTERADA医療福祉カレッジ編集部

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