心理

2018/12/27

健康心理学とは

健康心理学という言葉を聞いたことがあるという方も、最近は多くなってきているかと思います。

健康心理学は心理学の応用分野であり、基礎的な心理学の実験・調査の結果をより実践的に日常生活に反映させるものとなっています。

 公式に健康心理学が確立されたのは、1973年にアメリカ心理学会(APA)に健康研究特別委員会が設置されたことがきっかけとなっています。

 

それまでの健康と病気の問題に関する心理学的な研究はまだ不十分であり、健康行動の理解と改善に心理学の諸原理と方法を応用すべきではないだろうか、という主旨の勧告が行われました。

 

こうした経緯を背景にして、1978年にアメリカ心理学会(APA)では、第38部会として健康心理学部会が成立し、1980年には健康心理学を「健康の推進・維持,疾病の予防・治療,健康・疾病・機能不全に関する原因・診断の究明、およびヘルスケア・システム(健康管理組織)・健康政策策定の分析と改善等に対する心理学領域の特定の教育的・科学的・専門的貢献の全てを指す」と定義しています。

 

健康心理学の領域には,健康に関する心理学の基礎および応用研究といった領域に加え、ヘルスケア・サービス・健康政策・産業組織の健康管理の問題など独自の研究領域が加えられています。

 

日本に健康心理学会が誕生したのは1988年であるとされています。

 

この頃までの日本における健康心理学関連の研究は以下のようなものとなっています。

(1)ストレスの発生源とそのコントロールについて

 

(2) 食行動の異常について

 

(3) 反社会的行動(少年非行など)や非社会的行動(感情障害など)の背景としての文化的・経済的要因について

 

(4) 生命倫理について

 

(5) 健康や医療に対する態度について

 

(6) 健康の指標と健康概念の再定義について

 

(7) 医療従事者・メディカルな組織における人間関係について

 

(8) 患者・クライエントや心身障害者に対する態度や対応の方法について

 

(9) 準医療行為(パラメディカル)な職業に関する教育および組織体制について研究対象は上記のように広範にわたるものですが、特に注目すべきは「こころの健康」という観点を非常に多角的に検討しているということでしょう。

 

たとえば、少年非行や感情障害について、文化的・経済的要因を検討しているという点は注目に値するのではないでしょうか。

 

非行や感情障害は精神的な問題によるものとして捉え、それがストレスなどだけではなく、地域性や社会制度、文化、そして個人および国の経済状態が「こころの健康」に強く影響を及ぼすという考え方は、治療・支援において重要な要素となっています。

 

この観点は、法律や制度の確立(改訂)や社会保障の見直しなど様々な形で私たちの生活に影響を及ぼしています。

 

現在の日本における問題である自殺者数の多さや、高齢化社会の問題、医療費負担増加の問題などにも「心の健康」が関係しており、健康心理学の研究成果が問題の改善・解決に寄与しているのです。

 

このように見ていくと「健康」心理学と「臨床」心理学の違いが見えてくるのではないでしょうか。

 

健康心理学は、臨床心理学が主として精神の障害と健康に関連する諸問題に焦点を当ててきたのに対して、身体をも含む、より広範囲の健康と疾病・障害に対する心理的過程の研究を対象としています。

 

このため、健康心理学は、生物学・疫学・公衆衛生学・行動医学などの医学領域をはじめとして、行動科学・教育学・政策学などを含む学際的なアプローチが不可欠となっています。

 

 日本には、日本健康心理学会という学術学会があり、精力的に研究活動が実施されています。

 

日本健康心理学会は1987年に設立されており、学会創立30周年を迎えています。

 

2018年度は日本ヒューマン・ケア心理学会と共同開催として、6月に年次大会を開催しています。

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