心理

2017/6/27

6月生まれの心理学・カウンセリング・メンタルヘルスの専門家

 心理学・カウンセリング・メンタルケアの専門家には、6月生まれの著名な先生方がいます。
 
 アーノルド・ゲゼルは1880年6月21日生まれのアメリカの発達心理学者です。ゲゼルは大学で医学も専攻し、心理学と医学の2つの観点から子どもの発達に関する研究を多く実施しています。代表的な研究として、一卵性双生児や二卵性双生児を対象とする実験研究があります。一卵性双生児は遺伝子が全く同じで、年齢も同じであり、養育環境も同じです。一方で、二卵性双生児は年齢と養育環境は同じですが、遺伝子は異なります。そのため、一卵性双生児と二卵性双生児による実験結果の相違は、遺伝的要因の影響であると考えることができます。ゲゼルは双子を対象とした実験から、発達は養育環境や生まれた後の学習経験よりも、遺伝的な要因の方が強いという成熟優位説を提唱しました。後の研究で、成熟優位説は絶対的に正しいものではないことが判明しましたが、ゲゼルの研究は子どもの内的な状態にスポットを当てたという点で評価されています。
 また、ゲゼルは発達診断学の確立させたことでも有名です。ゲゼルは多くの子ども観察し、治療・支援や教育・指導などに役立つ情報を収集し、年齢ごとの子どもの持つ標準的能力を体系的にまとめました。ゲゼルが開発した発達診断は、ゲゼル発達診断とよばれています。この診断方法は、子どもの各種の障害の早期発見や適切な治療・支援や教育・指導に利用されることを想定したものとなっています。子どもが日常生活における行動の観察を重視し、各種能力に関する詳細な検査項目を設定しています。ゲゼル発達診断の各項目は、それ以後の発達検査にも多く取り入れられており、現在の心理カウンセリングや心理アセスメントの現場でも頻繁に利用されています。
 
 エリク・ホンブルガー・エリクソンは、1902年6月15日生まれの発達心理学者です。エリクソンの提唱した理論は、エリクソン自身の生い立ちや経歴と大きく関係しています。エリクソンはデンマーク系の母親の再婚に伴い、ドイツ人の小児科医の養子となりました。エリクソンはユダヤ系の学校に通っていましたが、北欧系であるため他の多くの生徒と容貌が異なることで疎外されていました。また、居住する地域ではユダヤ人として扱われることが多く、家庭では養子として家族に所属しきれないという感覚を抱いていました。この経験が「自分とは何か?」や「自分は将来的にどうなりたいのか?」というアイデンティティの概念を生み出す基盤となったとされています。その後、エリクソンは18歳以後教育を受けておらず、一般的な年齢で大学教育を受けることなく、28歳までヨーロッパ各地を放浪の旅をして過ごしていました。
 これは、エリクソン自身が「自分とは何か?」を探すための旅であったと考えられます。そして、この旅自体が、モラトリアムの概念を確立するきっかけとなったといわれています。モラトリアムとは、本来は経済学などの用語として「猶予期間」という意味があり、借金返済などの猶予という意味で使われることがあります。エリクソンはモラトリアムを発達過程における「大人としての自立・独立までの猶予期間」として捉えています。その後、エリクソンはフロイトの娘であるアンナ・フロイトから児童精神分析について指導を受け、精神分析学を専門とするようになりました。また、1933年にアメリカに渡った後は、ハーヴァード大学などで臨床や教育に従事しました。1950年に発表された漸成発達論はパーソナリティ(人格)の発達論であり、ジグムント・フロイトの心理 = 性的発達理論に社会・歴史的発達観を統合した包括的な理論であり、この理論の中でアイデンティティやモラトリアムなどの概念を学術的に定義しています。

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