心理

2018/3/29

3月生まれの心理学・カウンセリング・メンタルヘルスの専門家 part2

心理学・カウンセリング・メンタルケアの専門家には、3月生まれの著名な先生方がいます。
 ハンス・アイゼンクは1916年3月4日にドイツ・ベルリン生まれの臨床心理学者です。アイゼンクは1934年にナチス政権下のドイツから逃れ、フランスを経てイギリスに移住しました。1940年にロンドン大学で博士号を取得した後、モーズレイ病院でパーソナリティ心理と行動療法の基礎研究と臨床研究に従事し、多くの業績を残しました。心理検査(性格検査)として有名なモーズレイ人格検査は、アイゼンクがモーズレイ病院に勤務中に開発したことから、その名前が冠されています。モーズレイ人格検査は、アイゼンクが自身のパーソナリティ理論に基づいて作成した質問紙による性格検査であり、社会性に関連する「外向性―内向性」の次元であるE尺度と、感情(情緒)の安定性に関わる神経症傾向の次元であるN尺度の2つの次元からパーソナリティを測定するというものです。また、虚偽の回答態度の有無を判定するL尺度も質問項目に含まれています。
 また、アイゼンクは1970年代に第三の基本次元として、冷淡さや、攻撃的衝動、反社会性などを含み、精神病質傾向や非行・犯罪傾向を予測するとされる衝動のコントロール性(精神病質傾向)を加え、アイゼンク人格目録を開発しました。さらに、アイゼンクは行動療法の有効性について検証し、その普及に努めたことでも高く評価されています。
 
 メラニー・クラインは1882年3月30日にオーストリアのウィーンに生まれた精神分析学の専門家です。クラインはドイツのベルリンでジグムント・フロイトの弟子であるアブラハムに教育分析を受けました。
 教育分析とは、精神分析学の概念で、精神分析家になるために受ける分析のことです。教育分析の目的は精神分析家が分析治療の妨害干渉要因となる可能性のある自らの無意識的葛藤や抑圧されている問題などをよく理解するために実施されます。その後、イギリスに移住したクラインは、子どもの精神分析的治療や遊戯療法の創始者の1人となりました。特にクラインは子どもに対する精神分析である児童分析に関する業績が有名です。児童分析とは、成人を対象とする場合と同様、抵抗や防衛、転移などの解釈を扱うが、まだ発達途上にある子どもの場合、連想やコミュニケーションの能力が不十分なことを考慮し、遊戯療法などによる分析が実施される。クラインは児童でも遊戯療法で得られるものは自由連想法などで得られるものと同様・同質であると考えており、子どもの場合も成人と同じように解釈を進めることによって深層心理・無意識的な精神状態を理解することができると考えていました。しかし、ジグムント・フロイトの娘で、同じく児童分析の専門家であるアンナ・フロイトは、児童の心理的機能の未発達と両親との強い結びつきにより、治療者(精神分析家)は成人の精神分析の際のように、中立性を保つのではなく、子どもに対して積極的に介入し、子どもの自我を強めることが必要であると主張しました。つまり、同じ児童分析でもクラインとアンナ・フロイトでは、考えが異なる部分があったのです。また、児童分析における転移についても、クラインとアンナ・フロイトは意見を異にしており、アンナ・フロイトが児童では転移は成立しないとするのに対して、クラインは児童でも転移を生起させる潜在力があると主張しました。
 
 このように、児童分析をめぐって、クラインとアン・フロイトは当時、激しい議論を展開していたとされています。この議論は精神分析から派生した児童分析にも、クライエントの精神状態に対する「解釈」が必要であり「どう解釈するのか?」という点が大きな問題だったからだと考えられます。

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