心理

2018/3/29

統合失調症とは

 統合失調症という病名を目にした、耳にしたことがあるという方は多いかと思います。では、具体的には、統合失調症とはどのような精神疾患なのでしょうか。
 
 統合失調症は陽性症状と陰性症状という全く異なる症状が1つの疾患の中で認められるものです。陽性症状では、妄想・幻覚・支離滅裂な発言や会話、行動などがあります。そして、陰性症状では感情の平板化・思考の貧困・意欲の低下・活動性の低下などがあります。また、統合失調症のクライエントに共通して認められるのは、自身が病気であるという認識、つまり「病識」が欠如しているということです。そのため、クライエントは自分自身で医療機関を受診するということがあまりなく、家族や友人・知人などに付き添われて病院に来るということが多いものなのです。このように、非常に治療・支援が困難な統合失調症ですが、日本統合失調症学会という学術学会があり、統合失調症の研究が盛んに実施されています。
 
 統合失調症という病名は2002年に「精神分裂病」という名称から変更されたものです。これは、精神分裂病という名称が「心がバラバラだ」というイメージを与えやすいために差別・偏見・誤解を助長するとされたからです。そこで、統合失調症へと名称が変更されました。
 「統合が失調している」ということは「心がまとまりを失っている」という意味であり、差別・偏見・誤解の減少を促すことになるわけです。ただし、疾患の主たる症状や精神の状態を的確に表す名称となっています。さらに言えば、精神分裂病という名称になる以前には早発性痴呆という名称が採用されていました。これは、モレルが早期発症(若年性)で痴呆化(※認知症の状態)する精神疾患に対して、初めて使用したものです。その後、クレペリンが精神疾患に伴う認知症の状態の患者に対しても、この早発性痴呆という用語を使用しました。また、クレペリンはその後、原因が不明な精神疾患で、早期(思春期ころ)に発症し、進行性で予後が悪く、パーソナリティに障害をきたし、痴呆化(認知症の状態)する精神疾患を早発性痴呆とよび、周期性に経過して予後が良好な精神疾患を躁うつ病(※現在の双極性障害)とよび、それまで混在して考えられていた疾患を明確に2つに分けました。現在の精神医学の観点から考えると、早発性痴呆とは、統合失調症の陰性症状のことを指していると思われます。陰性症状では、あらゆる刺激に対する反応が希薄になり、感情の平板化が起こります。統合失調症には陰性症状だけではなく、陽性症状も存在し、記憶に関する障害は顕著ではないことも明らかとなっているため、現在では認知症と統合失調症は明確に区別されるものとなっています。
 
 このように、早発性痴呆から精神分裂病、統合失調症と日本語名が変遷しているわけですが(※英語表記でも、Dementia Praecox(早発性痴呆)からSchizophrenia(精神分裂病および統合失調症)へと変更されています)、内因性精神障害の代表的な疾患であるといことは変わりません。統合失調症は治療・支援の方法として、薬物療法が必須であり、入院が必要となることも多くあります。加えて、認知行動療法などを並行して実施しながら、経過が良好となってからは、社会復帰に向けたSST(社会技能訓練)などの実施も必要となります。しかし、SSTを実施して社会復帰しても、様々なストレスから再度発症し、また病院に逆戻りというケースも多く見受けられます。そのため、統合失調症患者の長期的な社会的入院が大きな問題となっています。従って、統合失調症の治療・支援には医療機関だけではなく、地域コミュニティとも連携した包括的な対応を進めていくことが重要となります。

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