心理

2017/9/29

気温と心理学・メンタルヘルスの関係

 まだまだ暑い日が続いており、熱中症への注意が必要な季節となっています。今回は、心理学的な観点から、気温とメンタルヘルスの関係について解説していきます。
 
 私たちは生理的な感覚として暑さまたは冷たさを感じています。より専門的には、温覚と冷覚を合わせて温度感覚とよばれる感覚があります。温度感覚は皮膚による知覚です。皮膚には温覚または冷覚のみを引き起こす温点と冷点が存在しており、熱さと冷たさを感じる部分が独立しています。また、私たちは熱さと冷たさに対する反応が多少異なっており、冷覚の方が温覚より速いということが判明しています。さらに、温度感覚に関する神経を上手く利用して、温覚または冷覚のみを感じなくするということもできることが分かっています。私たちの体温や体表温は基本的に一定に保たれていますが、外部から熱いモノや冷たいモノが触れることで、“熱さ”や“冷たさ”を感じます。しかし、皮膚の温度と同じ温度の対象が皮膚に接した時には温覚も冷覚も生じないのです。このように、熱さ冷たさも感じない温度のことを生理学的零点とよびます。
 
私たちの皮膚の表面温度は皮膚温ともよばれ、様々な要因によって影響を受けます。外部環境要因として、湿度、気流、外部環境温などの影響を受けます。そのため、「ジメジメしている」という状態でも暑さや寒さを感じ、温度自体には変化がなくても、扇風機による「風」が気流となることで、涼しさを感じることができます。また、内部環境要因として、血液の温度、皮下脂肪層の厚さなどの皮膚構造、発汗なども影響を及ぼします。従って、太っている人は暑がりですし、汗をかいた後に汗が蒸発する際に熱が奪われることで、暑さが和らぐのです。
日本には明確な四季があり、当たり前の話ではありますが、毎年、夏は暑く、冬は寒いということになります。
 そして、私たちは外部の気温による影響を受けながらも、体内の生理的状態を一定に保とうとしています。そのため、暑さや寒さはストレスの原因となることが多く、身体的な疾患だけではなく、精神的な疾患の引き金になることもあります。身体的疾患の場合、特に高血圧性疾患、心疾患、脳血管性疾患および老衰は気温と密接に関係しているとされています。そのため、症状の悪化や、これらの疾患による死亡が増えることと、気温の状態が関係しているとされています。また、熱中症や低体温症などの疾患も外部の気温の影響を強く受ける疾患です。高齢者は熱波や寒波の影響を受けやすく、熱中症や低体温症による死亡が多い傾向にあります。
そのため、特に老人性低体温症という独立したカテゴリーも存在します。熱中症については、冷房・エアコンなどの空調機器が発達したことで、昔に比べれば予防・防止が可能になってきています。しかし、高齢者、特に認知症を発症している高齢者は、気温に対する感度が鈍く、暑さに気が付かないという傾向があります。そのため、実際には暑く、汗をかいているにもかかわらず、その暑さを感じることができないため、冷房・エアコン・扇風機などを使おうとしないことがあります。その結果、本人が気づかないうちに脱水症状や熱中症になってしまうことがあります。
 
 比較的最近の研究では、遺伝子情報によって、暑さや寒さに対する影響が異なることも判明しています。研究の結果、寒さに対する耐性である耐寒性が遺伝要因として存在していることが判明しています。
 
 このように、気温やそれに伴うストレス、発症する疾患などについて、心理学的な観点から様々な研究が実施されています。研究の結果は、熱中症の予防などの健康対策に活用されています。

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