学生相談とは | 心理カウンセラーなら通信講座のTERADA医療福祉カレッジ
心理

2018/6/7

学生相談とは

 心理カウンセリングには様々な種類があります。小学生・中学生・高校生に対するカウンセリングは主にスクールカウンセラーが対応する領域となっています。
 スクールカウンセラーは発達心理学の知見を応用し、各年齢段階における精神発達を考慮した支援を実施します。一般的には、スクールカウンセラーの制度が注目を浴びることが多いかと思われますが、教育機関における心理カウンセリングとして、大学における学生相談というものがあります。日本における学生相談に関する歴史は古く、1955年に学生相談研究会が設立されたのを皮切りに、精力的に研究・実践が続けられ、1987年には日本学生相談学会として、日本学術会議より学術研究団体認定を受けました。また、学会認定の資格として、大学カウンセラーおよび学生支援士という学生相談に特化した心理カウンセラー資格も創設しています。では、学生相談とは具体的にどのようなものなのでしょうか。
 
 学生相談とは、大学生の大学生活における適応を援助するために、主に各大学に設置された学生相談室で実施されるものです。大学によっては、保健管理センターやカウンセリング・センター、学生相談所等の名称でよばれていますが、どれも学生相談に特化した施設となっています。ただし、大学によっては「学生相談室」とは別に「心理相談センター」が併設されていることがあります。いわゆる「学生相談室」は各大学に在籍している学生のみが利用できます。そして「心理相談センター」の方は、学生は利用できず、一般の方だけが利用できるものが多いです。学生相談室に寄せられる相談内容は非常に多種多様であり、学業の問題(履修相談)、性格的な問題、進路相談、適性相談、学生生活の過ごし方、恋愛相談等、発達関係、居場所づくりなどです。最近のケースでは、特に学業に関する相談が増加傾向にあるとされており、寄せられる相談の約4分の1が学業・修業に関する問題であるとされています。学業・修業の問題は、精神的な問題のきっかけとなることも多く、試験前に相談増えるという傾向も認められます。その他にも、学生相談には以下のような特徴があるとされています。
 
・1年生時は、特に問題を抱えていない学生が、新生活への不適応からストレスを抱える。
・3年~4年:ゼミ等により、半ば強制的に複雑なコミュニケーションを取る必要が出てくることで、パーソナリティや発達の問題が表面化する。
・家族や友人、指導教官からの依頼・紹介による来所も多い。
・相談の心理的要因としては、抑うつが約30%、不安が約25%、無気力感が約16%である。
また、身体症状を訴える学生も多い。
・精神面の問題や対人関係上の問題は、学業・修学に関する問題よりも、相談が中断されやすい傾向にある。また、2、3年次の相談は他の時期の相談に比べて中断しやすい傾向がある。
・中高でスクールカウンセラー制度に接した場合、大学での相談室利用のハードルが下がる。
・大学生は多様性のある自分への葛藤を抱えやすく、統合からくる葛藤を避けようとする傾向があるがあり、それが問題(悩み)となることが多い。
・大学生は悪徳商法やカルト宗教のターゲットとして狙われている層であり、関連する相談もある。
 
 学生相談は医療機関で実施される心理カウンセリングとは異なり、あくまで教育機関の中での対応となります。そのため、相談活動は大学暦に左右されることになります。例えば、試験前に相談が増えたり、ゴールデンウィーク明けや夏休み明けに相談が増えるケースもあります。逆にそれまで続いていた来所が夏休みなどの長期休暇になったことで途絶えるということもあります。そして、大学を卒業することで学籍がなくなるため、たとえ相談したいことがあっても、それまで同様に学生相談室が利用できなくなるということも大きな特徴です。また、スクールカウンセリングと同様に、個人としての学生として捉えるのではなく、環境の中の学生として捉えることが重要となるため、学生相談にはコミュニティ心理学の知識が必須となります。
 
 大学生は学生と社会人の中間であり、人生上の大きな変化の渦中にある存在です。そんな大学生の心理的支援の最前線にあるのが学生相談室であり、実践だけでなく研究も盛んに進められているのです。

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