心理

2017/2/28

天気と人間の心理の関係

まだまだ寒い時期が続き、インフルエンザが流行したりしています。しかし、地域によっては春一番が吹き、気温が急激に上昇したというニュースもありました。このように、寒暖の差が激しかったり、乾燥した日が続いたりすることで、身体的な病気にかかりやすくなることがあります。また、病気にならないまでも、体調を崩すことも多くなります。そして、“崩れる”のは身体的な健康だけではなく、精神面の健康も“崩れる”ことがあります。
空が曇っていたり、雨が続いていたりすると、気分が落ち込んでしまうことがあるという人もいるのではないでしょうか。アメリカで実施された心理学の研究で、【天気と感情】に関するものがあります。この研究では、実験参加者に電話して、現在の気分についてアンケート形式で確認します。この際、予め実験参加者の居住する現在の天気を確認しておき、現在の天気と気分の関係について調べました。その結果、自分の住んでいる場所の天気が気分に影響を与えていることが判明しました。現在の天気が晴れの状態で、気分に関するアンケートに回答した人は、ポジティブな気分であるという傾向が認められました。逆に、現在の天気が雨や曇りの状態で、気分に関するアンケートに回答した人は、ネガティブな気分であるという傾向が認められました。このように、単純に“今日の天気”というものが、私たちの心理状態に影響を及ぼすのです。ただし、“今日の天気”だけで、精神的な疾患等になってしまうことはあまりありません。精神的な疾患の引き金やストレスの原因となるのは、“天気の変化”による影響です。
私たちの身体は自律神経によって、常に一定のバランスが保たれています。バランスが保たれていることにより、心身の健康が維持されているのです。このバランスは、内臓の働きや、血糖値、各種分泌物の調整など非常に多岐にわたります。その中で、外部の気温や気圧の変化に対しても、私たちの身体は常にバランスを取ろうとしています。真夏の暑い日に汗をかくのは、汗が蒸発する際に熱が発散されるのを利用して、身体の温度を下げるためです。真冬に寒さで震えてしまうのは、小刻みに身体を運動させることで、少しでも熱を発生させるためです。これらの反応は、自律神経が外部の気温に合わせて、適切な生活ができるようにバランスをとるために起きているものです。このように、私たちの身体は天気・天候がもたらす気温等の影響にうまく対応することができます。しかし、急激な変化には、すぐに対応ができず、その結果、ストレスを感じてしまうことがあります。四季のように少しずつ変化していくものであれば、私たちは徐々に慣れていくことができますが、台風が接近して気圧が急激に変化したり、寒暖の差が激しい日があったりすると、私たちの身体は外部の変化に適応できません。そのため、気づかないうちに強いストレスを感じてしまうことがあります。気温や気圧の急激な変化によって体調を崩す場合がありますが、これは、自律神経によるバランス調整が追いつかない結果でもあるのです。
天気の影響が顕著な精神疾患として、季節性感情障害(季節性情動障害)というものがあります。これは、いわゆる、うつ病の症状である抑うつや意欲の低下などが、秋から冬にかけて起きるものの、春から夏にかけては症状が治まるというものです。また、1年間だけ、このような症状があったのではなく、2年以上続けて季節によって感情面の問題が生じている場合に、季節性感情障害(季節性情動障害)と診断されることがあります。うつ病の原因は様々ですが、実は天気や季節も原因となることがあるのです。
このように、天気や季節は、私たちの“こころ”に大きな影響を与えるものなのです。そのため、近年では、心理学・カウンセリング・メンタルヘルスの分野と、気象学の分野によるコラボレーションの必要性が高まってきています。自分の感情・気分の都合に合わせて、天気の方を変えてしまうということはできません。しかし、天気予報を単に“傘を持ってでかけるかどうか?”ということだけではなく、“明日、気温や気圧が変化するなら、精神的に落ち込むかもしれない”という予測に利用し、ストレスや精神疾患に対する予防に役立てることができるようになる日が、近い将来訪れるかもしれません。

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